植物学
植物の芽の構造と分類の基礎知識

維管束植物における「芽」の構造、頂芽や側芽、定芽と不定芽、休眠芽などの多様な分類について、信頼できる植物学の文献に基づき詳細に解説します。
📌 主なポイント
- ✓芽は維管束植物においてシュート頂分裂組織と未熟な茎・葉からなる構造である。
- ✓頂芽で合成されるホルモンなどが周辺の側芽の成長を抑える現象を頂芽優勢とよぶ。
- ✓発生する位置により、定まった場所につく定芽とそれ以外の場所につく不定芽に大別される。
維管束植物における芽(め、英: bud)とは、茎の頂端分裂組織と、そこに由来する未熟な茎および葉から構成される構造である。芽は伸長することで新たなシュート(葉や花をつけた茎)を形成する。
構造
植物の芽は未展開の若いシュートであり、先端には茎の先端成長を司るシュート頂分裂組織が存在する。シュート頂分裂組織の下方では、表層から外生的に新たな葉が形成され、これは葉原基とよばれる。シュートの成長は基部側から先端側へ向かって進行する求頂的発生を示す。
芽の分類
芽は、その位置や構成器官、活動状況などによっていくつかの形態に大別される。
頂芽と側芽
茎の先端に位置して茎を伸長させる芽を頂芽といい、側方に新たなシュートを伸ばす芽を側芽という。種子植物では、側芽は通常葉の腋に形成されるため腋芽ともよばれる。
活発に伸長している茎では頂芽の活動が優勢であり、周辺の側芽の成長は抑制される。この現象は頂芽優勢とよばれ、植物ホルモンであるオーキシンやサイトカイニン、ストリゴラクトンなどが関与している。
定芽と不定芽
茎頂や葉腋といった定まった位置に形成される頂芽や腋芽はあわせて定芽とよばれる。一方、それ以外の場所から生じる芽は不定芽とよばれ、茎上不定芽、葉上不定芽、根上不定芽などに分けられる。
葉芽・混芽・花芽
展開した際に普通葉のみをつけるものを葉芽、花または花序をつけるものを花芽、両方をつけるものを混芽という。
休眠芽
低温期や乾燥期などの生育不適期に休眠状態にある芽は休眠芽とよばれ、特に冬季にあるものは冬芽とよばれる。休眠芽は寒さや乾燥から保護するため、芽鱗に覆われる鱗芽や、覆われない裸芽がある。
よくある質問
頂芽優勢とはどのような現象ですか?
頂芽が活発に活動しているときに、周辺の側芽の成長が抑制される現象のことです。頂芽で作られる植物ホルモンなどが関わっています。
定芽と不定芽の違いは何ですか?
茎の先端や葉の腋など、決まった位置にできる芽を定芽といい、それ以外の場所から生じる芽を不定芽とよびます。
冬芽にはどのような保護構造がありますか?
寒さや乾燥から守るため、芽鱗という特殊化した葉に覆われているもの(鱗芽)や、覆われていないもの(裸芽)があります。
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参考文献
巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). 『岩波 生物学辞典 第5版』 岩波書店. 清水建美 (2001). 『図説 植物用語事典』 八坂書房. 原襄 (1994). 『植物形態学』 朝倉書店.