法学・社会

署名(サイン)の定義と法的性質

署名(サイン)の定義と法的性質
署名(サイン)の定義、記名との違い、および日本法や国際法における法的役割について解説します。

📌 主なポイント

  • 署名は本人が自ら氏名を記す「自署」を指し、記名とは区別される。
  • 日本法では商法などにおいて署名に代えて記名押印が認められる場合があるが、遺言など自署が必須のケースも存在する。
  • 国際法上の署名には、条約の内容を確定させる役割と、条約に拘束される意思を示す役割がある。

署名(英語: signature)とは、行為者が自己の氏名を自ら書き記す行為、またはその書き記されたものを指します。一般的には「サイン」とも呼ばれ、古来より自己同一性を証明する手段として世界各地で使用されてきました。

記名との違い

法律用語において、署名と記名は明確に区別されます。署名は本人が自ら氏名を書き記す「自署」を指すのに対し、記名は署名以外の方法(ゴム印、印刷、代筆など)で氏名を表示することを指します。法的に自署が求められる場面では、記名のみでは要件を満たさない場合があります。

日本法における署名と押印

日本法において、署名は意思表示の真正を担保する重要な手段です。商法などの一部の法律では、署名に代えて「記名押印」が認められています。記名押印とは、氏名を記した上で印章を捺印する行為を指します。

一方で、遺言書や戸籍の届出など、特定の法律行為においては自署が厳格に求められるケースが存在します。また、外国人については印章を持つ慣習がないことを考慮し、署名のみで押印に代えることができるとする法律も存在します。

大日本帝国憲法の上諭
大日本帝国憲法の上諭。明治天皇の諱(名)と国務大臣の署名が記されている。

国際法上の署名

国際法における署名には、主に二つの役割があります。第一に、外交会議等で条約の内容を確定させるための署名です。これにより、正式な手続を経ない限り条約の内容を修正することはできなくなります。第二に、条約に拘束される意思を示すための署名です。これは批准や受諾といった国内手続の前提となる意思表明として機能します。

ジョン・ハンコックの署名
ジョン・ハンコックの署名。米国ではその著名さから「署名」の代名詞として使われることがある。

よくある質問

署名と記名の決定的な違いは何ですか?
署名は本人が自ら手書きで氏名を記す「自署」であるのに対し、記名は印刷やゴム印など、手書き以外の方法で氏名を表示することを指します。
日本法で署名の代わりに記名押印が認められるのはなぜですか?
商法などの法律において、実務上の利便性を考慮し、氏名の表示(記名)と印章の捺印(押印)を組み合わせることで、自署と同等の真正を担保できるとみなされているためです。
外国人は日本で署名をする際に印鑑が必要ですか?
外国人については、印章を持つ慣習がないことを考慮し、法律により署名のみで足りる(押印を要しない)とされている場合があります。

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参考文献

  • 『有斐閣 法律用語辞典 [第3版]』法令用語研究会 編、有斐閣、2006年。
  • 法制執務研究会 編『新訂 ワークブック法制執務 第2版』株式会社ぎょうせい、2018年。
  • Merriam-Webster, "John Hancock".