菱鉄鉱(鉱物の基礎知識と化学的・物理的性質)

📌 主なポイント
- ✓菱鉄鉱の化学組成は FeCO3(炭酸鉄(II))であり、三方晶系の炭酸塩鉱物である。
- ✓鉱物名はギリシャ語で「鉄」を意味する「σίδηρος」に由来する。
- ✓モース硬度は 4 で、比重は 4.0、条痕は白色を示す。
菱鉄鉱(りょうてっこう、英: siderite)は、炭酸塩鉱物に分類される鉱物の一種である[1]。化学組成は $ ext{FeCO}_3$(炭酸鉄(II))であり、結晶系は三方晶系に属する[1]。方解石グループを構成する鉱物のひとつとしても知られている[1]。
鉱物名の由来は、ギリシャ語で「鉄」を意味する「σίδηρος (sídēros)」にちなむ。

物理的・化学的性質
菱鉄鉱の結晶は三方晶系であり、単位格子のサイズは $a = 4.6916 ext{Å}$、$c = 15.3796 ext{Å}$ である[1]。へき開は三方向に完全で、モース硬度は 4 を示す[1]。ガラス光沢をもち、色は黄褐色、条痕は白色である[1]。比重は 4.0 である[1]。
光学的には一軸性負であり、屈折率は $n_ u = 1.875$、$n_ ext{ extepsilon} = 1.633$、複屈折は $ ext{ extdelta} = 0.242$ となる[1]。蛍光は示さない[1]。また、冷時の希塩酸には少しずつ溶け、温時では容易に反応して溶ける性質を持つ。
結晶形態としては、菱面体、球状集合、皮膜状などの形で産出することが多く、方解石などと同様に菱面体をなすが、結晶面がやや湾曲するのが特徴的である。さらに、菱マンガン鉱や菱苦土鉱と連続した固溶体を形成する。

産出地と形成環境
菱鉄鉱は、金属鉱床の酸化帯、火山岩の隙間、堆積性鉄鉱床などの環境で見つかる[1]。主に熱水鉱脈において続成作用によって形成されやすい[1]。石炭層と共に産出するものは「泥鉄鉱」と呼ばれ、団塊などの形態をとることが多い[1]。泥鉄鉱についてはコトバンクなどの事典でも解説されている[6]。




用途と歴史
ドイツなどの産出量が多い地域では、鉄資源として利用されることがある[1]。精錬が比較的容易であることから、人類が歴史上で最初に精錬した鉄鉱石は菱鉄鉱であったのではないかという説も提唱されている[1]。熱水鉱床で産出する場合、縞状鉄鉱床や赤鉄鉱のような大規模で連続的な形成とは異なり、露天掘りには不向きな産状を示すため採算性が低い場合もあるが、石炭層と共に産出するものはコークス高炉の技術確立に伴い、原料として活用されるようになった経緯がある[1]。
よくある質問
菱鉄鉱の化学式は何ですか?
菱鉄鉱の名前の由来は何ですか?
菱鉄鉱の結晶系は何ですか?
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参考文献
- 国立天文台 編『理科年表 平成20年』丸善、2007年、641頁。ISBN 978-4-621-07902-7。
- Siderite (英語), MinDat.org. 2011年11月10日閲覧。
- Siderite (英語), WebMineral.com. 2011年11月10日閲覧。
- 文部省 編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、114頁。ISBN 4-8181-8401-2。
- 「泥鉄鉱」コトバンク。2023年8月1日閲覧。