無機化学

ケイ酸の化学構造と性質に関する解説

ケイ酸の化学構造と性質に関する解説
ケイ素、酸素、水素の化合物の総称であるケイ酸の化学的性質、オルトケイ酸の単離、水溶液中の電離平衡について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • ケイ酸はケイ素、酸素、水素の化合物の総称である。
  • オルトケイ酸は2017年に産業技術総合研究所のグループによって初めて単離された。
  • ゲル状のケイ酸を加熱乾燥させるとシリカゲル(キセロゲル)となる。

ケイ酸(珪酸、silicic acid)とは、化学式 [SiOx(OH)4−2x]n で表されるケイ素、酸素、水素の化合物の総称である。代表的なものとしてオルトケイ酸 (H4SiO4)、メタケイ酸 (H2SiO3)、メタ二ケイ酸 (H2Si2O5) などが知られており、単にケイ酸と呼ぶ場合はメタケイ酸を指すことが多い。

オルトケイ酸の化学構造を示す図
オルトケイ酸の構造式

ケイ酸は二酸化ケイ素 (SiO2) に水 (H2O) が加わったものとして捉えることができ、理論上はケイ素の数に応じて環状やシート状など多様な構造をとることが可能である。

ピロケイ酸の構造を示す図
ピロケイ酸の構造式

オルトケイ酸は単独で存在することが少なく混合体となることが多いが、2017年には産業技術総合研究所のグループによって初めて単離が報告された。テトラベンジルオキシシランをアミド溶媒中でパラジウム炭素により水素化分解することで、オルトケイ酸を96%の収率で合成することに成功している。

メタケイ酸の構造を示す図
メタケイ酸の構造式
メタ二ケイ酸の構造を示す図
メタ二ケイ酸の構造式

化学的性質と水溶液中の挙動

ケイ酸ナトリウムなどのアルカリ溶液に酸を加えると、白色無定形の膠状物体が得られる。このゲル状物質を乾燥させ加熱していくと徐々に脱水が進み、500 ℃ で二酸化ケイ素のキセロゲル(シリカゲル)となる。

オルトケイ酸の電離平衡の式1
オルトケイ酸の1段目の電離平衡
オルトケイ酸の電離平衡の式2
オルトケイ酸の2段目の電離平衡
オルトケイ酸の電離平衡の式3
オルトケイ酸の3段目の電離平衡

オルトケイ酸は化学式上は4価の酸であるが、明確な酸解離定数が測定されているのは1段目のみであり、2段目以降の正確な測定は困難である。また、岩石学においては二酸化ケイ素の含有量を指してケイ酸と呼ぶ場合もあり、含有量に応じて酸性岩や塩基性岩などに分類される。

よくある質問

ケイ酸とはどのような物質ですか?
ケイ素、酸素、水素の化合物の総称であり、オルトケイ酸やメタケイ酸などの多様な構造が存在します。
オルトケイ酸の単離はいつ成功しましたか?
2017年に産業技術総合研究所のグループによって初めて合成・単離が報告されました。

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参考文献

  • Inorganic Chemistry, Academic Press, 2001.
  • Igarashi, M. et al., Nat. Commun. 8, 140, 2017.
  • 日本原子力研究開発機構 プレスリリース, 2017.