化学

ケイ酸の化学的性質と構造

ケイ酸の化学的性質と構造
ケイ酸(silicic acid)の化学的性質、構造、およびオルトケイ酸などの関連物質について解説します。科学的知見に基づいた定義と分類をまとめました。

📌 主なポイント

  • ケイ酸はケイ素、酸素、水素からなる化合物の総称である。
  • オルトケイ酸(H4SiO4)の単離は2017年に初めて報告された。
  • ケイ酸は乾燥過程で脱水し、シリカゲル(二酸化ケイ素)となる。

ケイ酸(silicic acid)は、ケイ素、酸素、水素から構成される化合物の総称です。一般的に化学式 [SiOx(OH)4−2x]n で表され、代表的なものとしてオルトケイ酸(H4SiO4)やメタケイ酸(H2SiO3)などが知られています。岩石学などの分野では、二酸化ケイ素(SiO2)の含有量を指してケイ酸と呼ぶこともあります。

主要なケイ酸の種類

ケイ酸には、その重合度や構造によっていくつかの形態が存在します。

  • オルトケイ酸(H4SiO4):最も単純なケイ酸の単位であり、単離が困難とされてきましたが、2017年にテトラベンジルオキシシランの水素化分解により合成が報告されました。
  • メタケイ酸(H2SiO3):SiO4四面体が鎖状または環状に連結した構造を持つ化合物の総称です。
オルトケイ酸の化学構造
オルトケイ酸(H4SiO4)の構造式
ピロケイ酸の構造
ピロケイ酸(H6Si2O7)の構造式

化学的性質

ケイ酸は水溶液中で不安定であり、容易に重合してポリケイ酸を形成します。ケイ酸アルカリの濃溶液に酸を加えると、白色無定形の膠状物体が生成されます。これを乾燥させると水を失い、最終的に二酸化ケイ素のキセロゲル(シリカゲル)となります。

メタケイ酸の構造
メタケイ酸(H2SiO3)の構造式
メタ二ケイ酸の構造
メタ二ケイ酸(H2Si2O5)の構造式

ケイ酸は熱水やアルカリには溶けますが、酸には溶けにくい性質を持ちます。また、フッ化水素と反応するとヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)を生成します。

電離平衡

オルトケイ酸は水溶液中で電離し、pHや濃度に応じて様々なポリケイ酸イオンを形成します。特に塩基性溶液中では、重合した化学種が存在することがラマンスペクトル等で確認されています。

電離平衡式1
オルトケイ酸の電離平衡(一段目)
電離平衡式2
オルトケイ酸の電離平衡(二段目)
電離平衡式3
オルトケイ酸の電離平衡(三段目)

よくある質問

ケイ酸と二酸化ケイ素の違いは何ですか?
二酸化ケイ素(SiO2)はケイ素の酸化物であり、ケイ酸は二酸化ケイ素に水が結合した構造を持つ化合物の総称です。
オルトケイ酸はどのように合成されますか?
2017年の研究では、テトラベンジルオキシシランをアミド溶媒中でパラジウム炭素を用いて水素化分解することで合成されました。

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参考文献

  • Igarashi, M. et al. (2017). Non-aqueous selective synthesis of orthosilicic acid and its oligomers. Nat. Commun. 8, 140.
  • 日本原子力研究開発機構 (2017). 200年にわたる謎に終止符、ガラスの基本単位の構造を決定.
  • Cotton, F. A., & Wilkinson, G. (1980). Advanced Inorganic Chemistry.