寒冷地における冬季の交通確保と雪氷対策

📌 主なポイント
- ✓除雪とは冬季の円滑な社会活動の運営や建物の損壊防止を目的に雪や氷を除くことである。
- ✓人力による除雪作業の呼び名は、雪掻きや雪寄せなど地方によって多様である。
- ✓1911年に日本で最初の木製ラッセル車が北海道の鉄道に導入された。
- ✓道路の冬季管理では、除雪トラック、ロータリー除雪車、除雪ドーザなどの重機が用途に応じて使い分けられている。
除雪とは、主に積雪地域において、冬季の円滑な社会活動の運営や交通・場所の確保、建物の損壊防止などを目的に、積もった雪や氷を取り除く作業全般を指す。
概要と用語の定義
家屋の出入口や駐車場などの比較的小規模な範囲、あるいは階段などの重機が入れない場所では人力による作業が行われる。これに対し、道路や鉄道といった広範囲で大量の雪を扱う場所では、大型の機械や専門の除雪車が使用される。
人力による除雪作業は、地域や地方によって雪掻き、雪除け、雪片し、雪透かし、雪撥ね、雪掘り、雪放り、雪寄せ、雪投げなど多様な名称で呼ばれている。また、除雪された雪を離れた場所へ移したり、川や海などの処分場所に捨てる作業は排雪と区別して呼ばれる。
建築物における雪害と対策
多量の積雪は建築物やインフラに深刻な被害をもたらす。適切な対策を行わない場合、雪の重みによって家屋や橋梁が倒壊・崩落する危険がある。
屋根に積もった雪を自ら下へ落とす雪下ろしや、家の周囲の積雪を排除する作業は、高所での作業となるため毎年転落事故や人的被害が報告されている。特に高齢化が進む地域では大きな社会問題となっており、地域ごとの除雪ボランティアなどの取り組みも見られる。また、住宅の敷地に沿う歩道の除雪については、海外の都市において法的な義務が設けられている事例もある。
歴史的変遷
江戸時代以前の除雪に関する文献は乏しいが、江戸時代に入ると、家々のひさしを伸ばして連結させる雁木造によって歩道への積雪を防ぐ工夫が見られた。雁木造のない場所では、住民が当番制で踏俵(ふみたわら)や専用のかんじきを着用して雪を踏み固める「雪踏み」が行われていた。
鉄道分野では、1911年(明治44年)に日本で初めて木製のラッセル車が北海道に導入されたが、昭和初期に至るまで多くの区間で人力に頼る部分が大きかった。近代以降、自動車の普及に伴い道路除雪の重要性が飛躍的に高まり、専用の機械や法整備が進められてきた。
道路の冬季管理と除雪手法
公道の冬季管理は多くの国で民間に委託されており、安定的な業者確保のために複数年契約が導入されるケースが多い。路面に雪氷が残らない状態は「ベア」と呼ばれ、作業間隔はサイクルタイムとして管理される。
主な除雪機械
- 除雪トラック:大型トラックの前部に排土板(スノープラウ)を装備し、幹線道路で雪を路側に排除する。
- ロータリー除雪車:車体前部のオーガで雪を掻き込み、ブロワーで上方に飛ばして路外やダンプトラックに積み込む。
- 除雪ドーザ:ホイールローダーなどに排土板やバケットを装備し、市街地や生活道路で広く用いられる。
- 凍結防止剤散布車:路面の凍結を防ぐため、薬剤を散布しながら走行する。
参考文献
日本国内の自治体資料、建設機械施工協会、国土交通省および各種報道資料に基づき構成されています。