気象観測装置

ソーダー:音波を用いた大気観測装置の仕組みと特徴

ソーダー:音波を用いた大気観測装置の仕組みと特徴
ソーダー(SODAR)は、音波の反射を利用して上空の風速や大気の揺らぎを観測する装置です。仕組みやドップラー・ソーダーの特徴について解説します。

📌 主なポイント

  • ソーダー(SODAR)は、音波の反射を利用して上空の風速や大気の揺らぎを観測する装置である。
  • 名称は「SOnic Detection And Ranging」の頭文字に由来する。
  • 風速の測定にはドップラー効果が利用され、主に水平方向の風速を観測する。
  • 通常の観測高度はおおむね上空200mから2kmの範囲である。

ソーダー(英語:SODAR)とは、大気の揺らぎによる音波の反射を利用し、上空の風速や大気状態を観測する装置である。SOnic Detection And Rangingの頭文字をとったアクロニムであり、音波を用いて大気探査を行う代表的なリモートセンシングシステムとして知られている。

電磁波(電波)を用いて探査を行うレーダー(RADAR)と原理的に類似しているが、媒質として電波ではなく音波を使用する点が特徴である。なお、水中において音波探査を行う装置はソナー(SONAR)と呼ばれ、これらは用途や媒質によって明確に区別されている。

移動式ソーダーシステムの様子
移動式ソーダーシステム

ドップラー・ソーダーの仕組み

現在一般的に普及しているソーダーは、アンテナから音波を送受信して上空の大気状態を捉えるシステムを採用している。システムの構成としては、単一のアンテナで送受信を兼ねるものと、2つのアンテナで送受信を分担するものの2種類が存在する。前者は気温の変動を観測するのに適しており、後者は気温と風速の変動による揺らぎを捉えることができる。

単一アンテナを用いるシステムでは、フェーズドアレイ方式(固定アンテナ)が採用されることが多い。さらに、回転式アンテナを用いるものと固定アンテナを用いるものに大別される。回転式アンテナの場合、通常は3つのアンテナで構成され、1つは鉛直方向へ向け、残りの2つは鉛直からわずかに傾けて設置される。

風速の計測には、音波のドップラー効果が利用される。観測可能なのは主に水平方向の風速であり、天頂から視半径15〜30度以内の円形領域が観測範囲となる。ただし、天頂から20度より低い領域や、鉛直方向の風速が0.2m/s以上ある場合には、それぞれ誤差の修正が必要となる。

観測高度と技術的特性

ソーダーによる通常の観測高度は上空200mから2km程度とされるが、その性能は装置の出力の大小、大気の安定度、および周囲の騒音環境に大きく左右され、状況によっては観測不能となる場合もある。

送信周波数は1kHz以下から4kHz程度が主流であり、送信出力は数百W規模である。一般に、出力が大きいほど、また送信周波数が低いほど、より高い高度の観測が可能になるが、そこには物理的な限界も存在する。また、パルス幅変調(PWM)を用いる手法は、より高い高度での観測において有効とされることがある。

よくある質問

ソーダーとはどのような装置ですか?
大気の揺らぎによる音波の反射を利用して、上空の風速や大気状態を観測する音波リモートセンシング装置です。
レーダーやソナーとは何が異なりますか?
レーダーは電磁波(電波)を用いて大気中を観測する装置であり、ソナーは水中で音波を用いて探査を行う装置です。ソーダーは大気中で音波を用いる点でこれらと区別されます。
ソーダーで観測できる高度はどのくらいですか?
通常の観測高度は上空200m〜2km程度ですが、装置の出力や大気の安定具合、周囲の騒音環境によって変動します。

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参考文献

  • Atmospheric Research & Technology, LLC (2006). "About Sodar".
  • Desmond T. Bailey (2000). "Upper-air Monitoring", Meteorological Monitoring Guidance for Regulatory Modeling Applications, United States Environmental Protection Agency.