太陽放射の基準指標:太陽定数の概要と変動

📌 主なポイント
- ✓太陽定数とは地球の大気上端で太陽光線に垂直な面が受ける単位面積・単位時間あたりのエネルギー量である。
- ✓人工衛星による観測により、太陽定数は約1.37×103 W/m2(1366〜1367 W/m2前後)であることが確認されている。
- ✓太陽定数は太陽活動周期や黒点・白斑の増減に連動して約0.1%の周期的な変動を示す。
太陽定数(たいようていすう、英語: solar constant)とは、地球の大気の上端において、太陽からの放射線に対して垂直な面が受ける単位面積・単位時間あたりのエネルギー(仕事率)を指す数値である。一般的に約 1.37×103 W/m2(または1366〜1367 W/m2前後)として扱われている。

太陽定数の測定の歴史
太陽定数の定量的な計測は19世紀前半から行われてきた。1837年から1838年にかけて、クロード・プイエやジョン・ハーシェルが初期の計測を試み、プイエは1228 W/m2という値を得た。その後、1884年にはサミュエル・ラングレーがカリフォルニア州のホイットニー山で大気の吸収を除外した測定を試みたが、当時は2903 W/m2と見積もられ不正確な値であった。1902年から1957年の間にはチャールズ・アボットらがさまざまな高地で観測を重ね、1322〜1465 W/m2の値を見出した。
現代においては、ロケットや人工衛星を用いた直接観測が可能になり、1366 W/m2前後で変動する様子が正確に捉えられている。1981年10月に世界気象機関(WMO)の測器観測法委員会が1367 W/m2という値を提唱して以降、この値が広く用いられることもある。
太陽活動に伴う変動とメカニズム
人工衛星による長期観測データから、太陽定数は完全な定数ではなく、太陽活動周期に連動して周期的に変動していることが判明している。その変化量は約0.1%程度とわずかである。また、太陽活動周期に伴う太陽定数の増加は黒点の増加と連動している。黒点自体は周囲より輝度が小さいため本来は太陽定数を減らす働きを持つが、同時に太陽定数を押し上げる働きを持つ白斑も増加するため、その効果が黒点の効果を相殺・上回ることで全体として太陽定数が増加する。
なお、太陽活動周期による長期変動よりも、日単位の短期的なランダムな変動成分の方が顕著であり、短期の変動幅は0.3%に達することがある。
地球への影響とエネルギー収支
太陽定数をもとに計算すると、地球が受け取っている総エネルギー量は膨大なものとなる。しかし、太陽から地球に入射するエネルギーの約30%は、大気や水蒸気などによって宇宙空間に反射され、地表面に到達するのは残りの約70%にとどまる。さらに、実際に地表面が単位面積あたりに受け取るエネルギーは、緯度、季節、時刻による太陽光の入射角に大きく依存する。