太陽光による安全な飲料水消毒法(SODIS)の仕組みと普及

📌 主なポイント
- ✓太陽水殺菌(SODIS)は、太陽光の紫外線と熱を利用して水中の病原体を死滅させる家庭用浄水法である。
- ✓世界保健機関(WHO)や赤十字などによって、発展途上国における安全な飲料水の確保手段として推奨されている。
- ✓処理には無色透明のPETボトルが主に用いられ、水の濁度が30NTU以下である必要がある。
- ✓日射量の多い地域(北緯・南緯15度〜35度の間など)での運用に最も適している。
太陽水殺菌(たいようすいさっきん、英: Solar water disinfection、通称:SODIS)とは、世界保健機関(WHO)や赤十字などが家庭での水処理および安全な貯蔵のための実行可能な方法として推奨している、太陽エネルギーを利用した浄水手法である。
この手法では、太陽光に含まれる紫外線と太陽熱の相乗効果を利用して、水中に存在するバクテリア、ウイルス、原虫などの生物学的汚染物質を不活化・殺菌し、安全に飲用できる水を作り出す。ただし、化学物質や重金属などの非生物学的物質による汚染を除去することはできない。
処理の仕組みと実施方法
SODISの基本的な実践には、無色透明のポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルやガラス瓶が用いられる。効率的な殺菌を行うためにはいくつかの重要な手順と条件が存在する。
- ボトルの準備と洗浄:表面に傷の少ない透明な2リットル以下のボトルを使用し、ラベルを剥がして洗浄する。
- 酸素飽和:ボトルに汚染水を4分の3ほど満たし、キャップを閉めて20秒間振ることで溶存酸素を高め、その後完全に満たして再び密栓する。
- 日光への曝露:十分な太陽光に当てる必要がある。傾斜した反射性の金属面や波型の金属屋根の上に置くことで、光の集光と温度上昇を早める効果が得られる。
処理に必要な時間は天候に大きく左右される。晴天率が高い場合は最低6時間の直射日光が必要とされ、雲が50%から100%を占める曇天の場合は約2日間かかる。連続的な降雨がある場合は、太陽光による殺菌が困難となるため、雨水の収集など別の方法へ切り替える必要がある。
適用地域と制限要因
太陽水殺菌は、日射量が多く年間を通じて雲や降雨が比較的少ない地域、特に北緯15度から北緯35度、および南緯15度から南緯35度の範囲に位置する地域で最も効果的に機能する。
最大の技術的制限の一つは水の濁度である。水の濁りが30NTUを超える場合、太陽光が十分に透過せず殺菌効果が著しく低下する。そのため、濁度が高い水は、布によるろ過や、天然の凝集剤(食塩や特定の種子粉末など)を用いた前処理によって微粒子を除去する必要がある。
研究開発と普及活動
太陽水殺菌の有効性は1980年代初頭にベイルート・アメリカン大学のAftim Acraによって発見され、その後スイス水生科学技術研究所(EAWAG)のマーティン・ウィーゲリンやアイルランド王立外科医学院のケビン・マクグイガンらの研究チームによって体系的に研究された。ケニアやジンバブエなどでの臨床試験では、乳幼児の下痢性疾患の発症率を大幅に減少させることが確認されている。
スイス水生科学技術研究所のサンデック部門をはじめとする国際機関や財団は、開発途上国における水系感染症の予防を目的として、世界各地でSODISの推進プロジェクトを展開している。
よくある質問
太陽水殺菌(SODIS)で除去できる汚染物質は何ですか?
曇天や雨天でも太陽水殺菌は効果がありますか?
水が濁っている場合はどうすればよいですか?
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参考文献
- WHO 飲料水水質ガイドライン
- Solar water disinfection — A guide for the application of SODIS, EAWAG/SANDEC
- Scaling Up Household Water Treatment Among Low-Income Populations, World Health Organization