音響機器

スピーカー(音響機器)の構造と仕組み

スピーカー(音響機器)の構造と仕組み
電気信号を音波に変換する音響装置「スピーカー」の基礎知識、歴史、ダイナミック型などの変換方式、およびマルチウェイシステムについて詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • スピーカーは電気信号を物理的な空気の振動(音波)に変換する電気音響変換器である。
  • ダイナミック型スピーカーは、1925年にエドワード・W・ケロッグとチェスター・W・ライスによって発明され、1929年に米国特許を取得した。
  • 人間の可聴域全体をカバーするため、ウーファーやツイーターなどの異なる周波数帯域を得意とするユニットを組み合わせたマルチウェイスピーカーシステムが利用される。

スピーカー(英語: loudspeaker、または省略して speaker)は、電気信号を物理的な音波(空気の振動)に変換する電気音響変換器であり、音響装置の一種である。日本語では「拡声器」とも呼ばれる。

音声や音楽などの電気信号を入力として受け取り、それを忠実に再現された音として空間に放射する役割を持つ。ラジオ受信機や携帯電話など、多様な音響機器に組み込まれて利用されている。

歴史

現在広く普及しているダイナミック型スピーカーは、1925年にエドワード・W・ケロッグ(Edward W. Kellogg)とチェスター・W・ライス(Chester W. Rice)によって発明され、1929年4月に米国特許が取得された。音声の物理的振動から電気信号を生成するダイナミックマイクとは逆に、ダイナミック型スピーカーは電気信号から音を生成する仕組みを持つ。

スピーカーユニットの種類と変換方式

音を発生させる核心的な部分は「スピーカーユニット」(あるいはドライバー)と呼ばれる。音響信号を物理運動に変換する方式には、いくつかの種類が存在する。

  • ダイナミック型:永久磁石の磁気ギャップ内に置かれたボイスコイルにオーディオ信号(交流電流)を流し、フレミングの法則(電磁力)によりコイルと接続された振動板を前後させて音波を生み出す方式。最も一般的である。
  • コンデンサ型(静電型):固定電極と薄い振動板の間に静電力の変化を与えて音を発生させる方式。
  • リボン型:磁界の中に薄い金属箔(リボン)を配置し、そこに電流を流して駆動する方式。
  • 圧電型:ピエゾ素子などの圧電効果を利用して振動板を動かす方式。

スピーカーシステムとマルチウェイ

人間の可聴域全域(およそ20Hzから20,000Hz)を単一のフルレンジユニットだけで完全にカバーすることは困難な場合が多い。そのため、特定の周波数帯域を得意とする複数のユニットを組み合わせた「マルチウェイスピーカー」システムが広く用いられている。

周波数帯域の分担に応じて、主に以下のようなユニットに分類される。

  • サブウーファー / ウーファー:低音域および超低音域を担当する。
  • スコーカー(ミッドレンジ):中音域を担当する。
  • ツイーター / スーパーツイーター:高音域および超高音域を担当する。

これらのユニットと、それらを収める「エンクロージャー(箱)」と呼ばれる筐体全体を組み合わせて一つのスピーカーシステムが構成される。

よくある質問

スピーカーとラウドスピーカーの違いは何ですか?
本来、英語圏では装置を指す場合に「loudspeaker」が正式な呼称とされ、「speaker」は文脈によって「話す人」などの意味と混同されやすいため省略的な表現として扱われることがあります。
ダイナミック型スピーカーはどのような仕組みで音を出しますか?
永久磁石の作る磁界の中に配置されたボイスコイルにオーディオ信号の交流電流を流し、電磁力によってコイルと結合された振動板を前後に振動させることで音波を発生させます。
マルチウェイスピーカーが必要な理由は何ですか?
単一のユニットだけで人間の可聴域である低音から高音までのすべてを均一かつ高忠実に再生することが物理的に困難なため、得意とする周波数帯域が異なる複数のユニットを組み合わせて再生周波数帯域をカバーするためです。

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参考文献

日本音響学会 編『音のなんでも小事典: 脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで』講談社〈ブルーバックス〉、1996年。