物理学

比熱容量の基礎と定義

比熱容量の基礎と定義
比熱容量の定義、熱力学における定圧・定積比熱の概念、および計量単位に関する解説。

📌 主なポイント

  • 比熱容量は、単位質量の物質を単位温度上昇させるのに必要な熱量である。
  • SI単位系ではJ/(kg·K)が用いられる。
  • 理想気体において、定圧比熱と定積比熱の差は気体定数Rに等しい。

比熱容量(ひねつようりょう、英: specific heat capacity)とは、物質の単位質量あたりの熱容量を指す物理量である。単に比熱とも呼ばれる。物質の温度を1単位(ケルビンまたは摂氏度)上昇させるために必要な熱量として定義され、物質の種類や状態によって異なる値をとる。

計量単位

国際単位系(SI)における比熱容量の単位は、ジュール毎キログラム毎ケルビン(J/(kg·K))である。日本の計量法においては、これに加えてジュール毎キログラム毎度(J/(kg·℃))も法定計量単位として規定されている。

なお、かつて用いられたカロリー(cal)を単位とする表記は、SI単位ではなく、計量法上も特定の分野を除き取引や証明に用いることは禁止されている。

熱力学における分類

熱力学において、比熱容量は測定条件によって大きく二つに分類される。

定圧比熱

定圧比熱(ていあつひねつ、cp)は、圧力を一定に保った状態で測定される比熱容量である。物質のエンタルピーの変化量と密接に関連しており、気体の場合には体積膨張に伴う仕事分が含まれるため、定積比熱よりも大きな値をとる。

定圧比熱の定義式
定圧比熱の定義式

定積比熱

定積比熱(ていせきひねつ、cV)は、体積を一定に保った状態で測定される比熱容量である。これは物質の内部エネルギーの変化量に対応する。

定積比熱の定義式
定積比熱の定義式

気体における関係

理想気体においては、定圧比熱と定積比熱の差は気体定数Rに等しいという関係が成り立つ。これは、定圧条件下では温度上昇に伴う体積膨張のために外部へ仕事を行う必要があり、その分のエネルギーが余分に必要となるためである。

定圧比熱と定積比熱の差
理想気体における定圧比熱と定積比熱の関係式

容積比熱

質量あたりの熱容量ではなく、体積あたりの熱容量を指す場合は容積比熱(または体積比熱)と呼ぶ。これは建築材料の断熱特性や土壌の熱特性を評価する際に用いられることが多く、単位はJ/(m³·K)などが使用される。

よくある質問

比熱と比熱容量は同じものですか?
はい、一般的に同じものを指します。比熱容量の略称として比熱が用いられます。
なぜ気体には定圧比熱と定積比熱があるのですか?
気体は温度変化に伴う体積変化が大きく、圧力を一定にするか体積を一定にするかによって、外部への仕事の有無が変わり、必要な熱量も異なるためです。
容積比熱はどのような場面で使われますか?
主に建築材料の断熱性能評価や、土壌の熱特性を扱う分野で利用されます。

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参考文献

  • 国際単位系(SI)第9版(2019)、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年3月
  • 計量法(平成四年法律第五十一号)
  • 和達三樹、十河清、出口哲生『ゼロからの熱力学と統計力学』岩波書店、2005年