気象観測器具
ストームグラス(天気管)の歴史と仕組み

19世紀ヨーロッパで天気予測に用いられたストームグラス(天気管)の歴史、化学組成、結晶変化の仕組みについて解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓ストームグラスは19世紀のヨーロッパで天気予測の道具として使われた。
- ✓樟脳や硝酸カリウム、塩化アンモニウムなどの化学薬品をエタノール水溶液に溶かしてガラス管に詰める。
- ✓1990年代以降の研究により、結晶の変化は主に気温に依存することが判明している。
- ✓気象学者のロバート・フィッツロイがビーグル号の航海などで詳細に観察・記録した。
ストームグラス(英語: Storm Glass)は、19世紀のヨーロッパにおいて航海時などの天気予測に用いられた道具である。複数の化学薬品をガラス管に詰めたものであり、溶液や沈殿、結晶の状態が変化することから天気を予測するとされたが、現代の科学的検証においては、その結晶変化は主に気温に依存することが判明している。
特徴と組成
一般的なストームグラスは、樟脳、硝酸カリウム、塩化アンモニウムなどの粉末をエタノール水溶液に溶解し、細孔を開けた紙や革で封をしたガラス管に詰めて用いられる。溶液内の状態変化については、以下のような現象が観察されると伝えられてきた。
- 晴天時には、固形分が完全に底に沈み、液体は澄みきる。
- 雨の接近前には、沈殿物の量が増加し、透明な溶液中を星のような形の粒子が浮遊する。
- 嵐や強風の前には、固形分の一部が溶液の表面まで達し、大きな葉のような形を形成する。
- 冬の寒冷時や雪、霜の時期には、管の高い位置まで沈殿物が積もる。

かつては気圧や大気電気学的な要因も影響すると考えられていたが、1990年代以降に行われた複数の研究により、ガラス管内の結晶化は外部の温度変化にのみ依存していることが明らかになっている。
歴史と普及
歴史的な記録によると、ストームグラスはCortiによって最初に考案され、イタリア人のMalacrediによってイギリスへ持ち込まれたとされる。19世紀初頭には、すでに航海時の天気予測道具として広く知られていた。

気象学の発展に寄与したロバート・フィッツロイ(Robert FitzRoy)はストームグラスに強い関心を持ち、ビーグル号の航海中にその様子を詳細に記録している。フィッツロイが1860年に考案した気圧計(フィッツロイ・バロメーター)にもストームグラスが組み込まれ、広く普及した。また、1870年に発表されたジュール・ベルヌの小説『海底二万里』に登場する潜水艦ノーチラス号の艦内にも設置されている描写が見られる。
よくある質問
ストームグラスとは何ですか?
19世紀のヨーロッパで天気予報の道具として使われていた、化学薬品の溶液と結晶を封入したガラス管です。
ストームグラスの中身には何が含まれていますか?
樟脳、硝酸カリウム、塩化アンモニウムなどをエタノール水溶液に溶かしたものが一般的に用いられます。
ストームグラスの結晶変化は何が原因ですか?
1990年代以降の研究により、ガラス管内の結晶は主に外部の温度変化に依存して変化することが判明しています。
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参考文献
国立国会図書館. “ストームグラスの作り方や予報性能について知りたい。”. レファレンス協同データベース. 2022年1月9日閲覧。 / James Smith, The Panorama of Science and Art, 1815. / Proceedings of the British Meteorological Society, 1863.