水酸化ストロンチウムの化学的性質と用途

📌 主なポイント
- ✓化学式は Sr(OH)2 で表されるアルカリ土類金属の水酸化物である。
- ✓空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸ストロンチウムを生成し、白く濁る性質を持つ。
- ✓冷水に対する溶解度は低いが、熱水に対しては著しく溶解度が増大する特性がある。
- ✓ショ糖と反応して難溶性のサッカラートを生成するため、砂糖の精製に利用される。
水酸化ストロンチウム(すいさんかストロンチウム、Strontium hydroxide)は、化学式 Sr(OH)2 で表されるストロンチウムの水酸化物である。固体状態ではストロンチウムイオンと水酸化物イオンから構成されるイオン結晶として存在する。

アルカリ土類金属化合物の典型的な化学的性質を示し、水溶液が空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸ストロンチウムを生成することで白く濁る特性がある。この挙動は水酸化カルシウムや水酸化バリウムの性質に類似している。市販される試薬としては主に八水和物である Sr(OH)2·8H2O が用いられるが、微量の炭酸ストロンチウムを含んでおり、固体であっても容易に二酸化炭素を吸収して変質するため、密栓して保存する必要がある。
合成方法
水酸化ストロンチウムは、酸化ストロンチウムに二酸化炭素を含まない水を反応させることで合成される。この反応は激しい水和熱を伴って進行する。

水酸化ストロンチウムは塩基性が比較的強いため、この消和反応は生石灰の水和反応と比較しても非常に激しく、取り扱いには注意が求められる。また、塩化ストロンチウムや硝酸ストロンチウムなどの水溶液に、炭酸塩を含まない比較的濃厚な水酸化ナトリウム水溶液を反応させることによっても、八水和物の結晶を析出させることが可能である。
物理的および化学的性質
本物質は強塩基に分類される。構成要素であるストロンチウムイオンのイオン半径(132 pm)はカルシウムイオン(114 pm)よりも大きいため、水酸化カルシウムと比較して水に対する溶解度がやや大きく、塩基性も高くなる。多くの側面において水酸化バリウムの性質と共通点が見られる。

水に対する溶解度は冷水に対して低い一方、熱水に対しては著しく増大するという特徴を持つ。これは、85℃以下で水溶液から析出する固相が八水和物であり、その溶解熱が吸熱であることに起因する。85℃以上では、飽和水溶液と平衡にある固相は一水和物である Sr(OH)2·H2O となる。


無水物は加熱によって脱水され、強熱により酸化ストロンチウムへと変化する。八水和物についても100℃前後で加熱することで脱水が進行し、一水和物を経る段階的な変化を示す。

ストロンチウム塩水溶液の加水分解における酸解離の平衡関係も確認されている。

用途
水酸化ストロンチウムの実用的な用途の一つとして、糖業における砂糖の精製プロセスが挙げられる。ショ糖と反応させることで、水に難溶性のサッカラート(化学式:C12H22O11·2SrO)を生成する性質を利用し、糖の分離や精製に役立てられている。
よくある質問
水酸化ストロンチウムの化学式は何ですか?
水酸化ストロンチウムはどのような方法で合成されますか?
水酸化ストロンチウムにはどのような用途がありますか?
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参考文献
- Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
- Das Periodensystem online, Sortierte Liste: pKb-Werte, nach Ordnungszahl sortiert.
- D.D. Wagman, et al., The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982)
- 田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年
- 『化学大辞典』 共立出版、1993年