ストラット式サスペンションの構造と歴史

📌 主なポイント
- ✓1947年にアール・S・マクファーソンによって特許が出願された。
- ✓1950年のブリティッシュ・フォード「コンサル」で実用化された。
- ✓部品点数が少なく小型であるため、現代の乗用車(特に前輪駆動車)のフロントサスペンションとして最も普及している。
ストラット式サスペンションは、自動車の独立懸架装置の一種であり、テレスコピック式ショックアブソーバーを懸架装置の主要な構成要素として利用する方式です。考案者であるアール・S・マクファーソンにちなみ、マクファーソン・ストラットとも呼ばれます。「ストラット(Strut)」は英語で支柱を意味し、その名の通りショックアブソーバーが車輪を支える柱としての役割を兼ねています。

歴史
本方式は1940年代後半、当時ゼネラルモーターズ(GM)の技術者であったアール・S・マクファーソンによって考案されました。1947年に特許が出願され、当初はGMの小型乗用車プロジェクト「シボレー・カデット」への採用が検討されましたが、開発中止に伴い実用化には至りませんでした。
その後、マクファーソンはフォードへ移籍し、同社のイギリス子会社であるブリティッシュ・フォードが1950年に発表したサルーン「コンサル」にこの方式が採用されました。当時の自動車界ではダブル・ウィッシュボーン式が主流でしたが、ストラット式の簡潔で小型な構造は、特に小型車や前輪駆動車との相性が良く、1960年代以降、世界的に広く普及しました。日本車においては、1966年に登場した初代トヨタ・カローラの前輪に採用されたことが、乗用車への本格的な普及の先駆けとなりました。
構造と特徴
ストラット式は、ショックアブソーバーの上部を車体(ホイールハウス頂部)に固定し、下部をステアリングナックルやハブキャリアと剛結します。車軸の位置決めを行うため、下部にはロワアーム(トランスバースリンク)が取り付けられ、車体に固定されるL字型の構成をとります。
長所
- 設計の自由度:構成部品が少なく、車体首尾線方向への突出が抑えられるため、エンジンルームや室内空間の設計自由度が高まります。
- 省スペース:構造が簡潔で小型であるため、特に横置きエンジンを採用する前輪駆動車に適しています。
- コスト効率:部品点数が少なく、量産車において製造コストを低減しやすい利点があります。
短所
- 摺動抵抗:旋回時に車輪が傾くと、ショックアブソーバー自体に曲げ荷重がかかり、摺動抵抗が増大して動きが阻害される傾向があります。
- ジオメトリーの変化:ホイールの上下動に伴いキャンバー角が変化しやすく、旋回時にタイヤの接地面積を最適に保つことが難しい場合があります。
- 剛性の要求:ホイールハウス全体がサスペンションの支持点となるため、車体側に高い剛性が求められます。
ダブル・ウィッシュボーン式との関係
機構学的には、ストラット式はダブル・ウィッシュボーン式の変形とみなすことができます。ダブル・ウィッシュボーン式のアッパーアームの長さを無限大にしたものと等価であり、サスペンションのジオメトリー設定は主にロワアームの長さと角度によって決定されます。
よくある質問
なぜストラット式は多くの車に採用されているのですか?
マクファーソン・ストラットとストラット式は同じものですか?
ストラット式サスペンションの主な欠点は何ですか?
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参考文献
- Ford, H. (1950). The British Ford Consul: A New Era in Small Car Design.
- MacPherson, E. S. (1947). Suspension System for Motor Vehicles. US Patent Office.