気象学
亜熱帯高圧帯のメカニズムと気候への影響

緯度20度から30度付近に形成される亜熱帯高圧帯の仕組みや、地球の気候、砂漠の形成、季節予報への影響について解説します。
📌 主なポイント
- ✓亜熱帯高圧帯は、ハドレー循環における下降気流によって緯度20度から30度付近に形成される。
- ✓下降気流は乾燥しているため、直下の地域では砂漠が形成されやすい。
- ✓季節の移り変わりとともに南北に移動し、地中海性気候やサバナ気候などの形成に寄与する。
亜熱帯高圧帯(あねったいこうあつたい)は、地球の緯度20度から30度付近の地域に年間を通じて形成される高圧帯です。気象学的には「亜熱帯高気圧」や「中緯度高圧帯」とも呼ばれ、地球規模の大気循環において重要な役割を果たしています。

形成のメカニズム
亜熱帯高圧帯は、赤道付近で暖められた空気が上昇し、上空を通って極方向へ移動する「ハドレー循環」の一部として形成されます。赤道で上昇した空気は、コリオリの力の影響を受けながら緯度30度付近で収束し、下降気流となります。この下降気流が地表付近で高気圧を形成するため、この地域は年間を通じて安定した高圧状態にあります。
気候への影響
下降気流は断熱圧縮によって高温かつ乾燥するため、亜熱帯高圧帯の直下に位置する地域では降水量が少なく、サハラ砂漠をはじめとする多くの砂漠が形成される要因の一つとなっています。ただし、すべての砂漠がこの高圧帯に起因するわけではなく、地形の影響による雨陰砂漠なども存在します。
また、太陽の季節移動に伴い、亜熱帯高圧帯も南北に移動します。この移動により、夏にのみ高圧帯の影響を受ける地域では地中海性気候が、冬にのみ影響を受ける地域ではサバナ気候やステップ気候が形成されるなど、地域の気候区分を決定づける重要な因子となっています。
主要な高気圧
亜熱帯高圧帯の一部として、海洋上には恒常的な高気圧が存在します。これらは北半球の北太平洋高気圧やアゾレス高気圧、南半球のセントヘレナ高気圧、マスカリン高気圧、南太平洋高気圧などが知られており、これらは各地域の季節予報や気象状況に多大な影響を及ぼします。
よくある質問
亜熱帯高圧帯はなぜ砂漠を作るのですか?
赤道付近から移動してきた空気が緯度30度付近で下降する際、断熱圧縮によって高温かつ乾燥した空気となるため、地表付近の降水量が極端に少なくなり砂漠が形成されます。
日本列島も亜熱帯高圧帯の影響を受けますか?
はい、日本の夏に影響を与える北太平洋高気圧は亜熱帯高気圧の一つです。ただし、日本は季節風の影響を強く受けるため、高圧帯の支配下にあっても明確な乾季は形成されにくいという特徴があります。
すべての砂漠は亜熱帯高圧帯によって形成されますか?
いいえ、そうではありません。ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠のように、山脈によって湿った空気が遮られることで形成される「雨陰砂漠」も存在します。
関連記事
ハドレー循環気候区分大気大循環高気圧
参考文献
- 気象庁 地球環境・海洋部『平成24年度季節予報研修テキスト 季節予報作業指針~基礎から実践まで~』2013年3月、322頁。
- 小倉義光『一般気象学』(第2版補訂版)東京大学出版会、2016年、174頁。
- 岩槻秀明『図解入門最新気象学のキホンがよーくわかる本』秀和システム、2012年、334頁。