食品保存における水分活性の基礎と熱力学的解釈

📌 主なポイント
- ✓水分活性(Aw)は密閉容器内の水蒸気圧と純水の蒸気圧の比で定義され、値は0から1の間をとる。
- ✓一般的な食中毒菌はおおむね0.900以上の水分活性で繁殖するが、0.600以下ではすべての微生物が繁殖不可能になる。
- ✓水分活性を低下させる主な手法として、塩漬けや砂糖漬け、乾燥処理などが挙げられる。
水分活性(すいぶんかっせい、英語: water activity、Aw と略される)とは、食品中に含まれる自由水の割合を表す数値であり、食品の保存性を評価するための重要な指標として用いられます。

定義と熱力学的解釈
水分活性は、食品を入れた密閉容器内の水蒸気圧(P)と、その温度における純水の飽和蒸気圧(PO)の比として定義され、以下の式によって求められます。
Aw = P / PO
この数値の範囲は0から1であり、純水の場合は1となります。

溶液中における成分の化学ポテンシャルは活量を用いて表され、溶媒が水の場合、その活量は水分活性に等しくなります。熱力学的定義から、加水分解のような水との化学反応では、水分活性が低下すると反応Gibbs関数が増大し、反応を妨げる方向に働きます。
水分吸着等温線と吸着熱
温度をパラメーターとして、水分活性と含水率の関係を図示したものを水分吸着等温線と呼びます。乾燥工学においては、水分活性を百分率で表示して相対湿度と呼び、平衡する含水率を平衡含水率と称します。

代表的な吸着等温式としてLangmuir式やBET式が知られていますが、穀物等の分野ではChen-Clayton式やStrohman-Yoeger式が適用されます。Chen-Clayton式は乾量基準含水率と絶対温度を用いて以下のように示されます。








これらの吸着等温式から、クラウジウス-クラペイロンの式を用いて吸着熱を計算することが可能です。


食品保存と微生物制御における意義
食品中には、タンパク質などと結合している結合水と、微生物の繁殖に利用される自由水が存在します。一般的な食中毒菌は水分活性がおおむね0.900以上で繁殖しますが、値が0.600以下になるとすべての微生物が繁殖できなくなります。水分活性を低下させる代表的な手法には、塩分や糖分を溶解させて自由水の比率を下げる方法や、乾燥によって水分そのものを除去する方法があります。
よくある質問
水分活性とは何ですか?
水分活性の数値の範囲はいくつですか?
微生物が繁殖できなくなる水分活性の数値はいくつですか?
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参考文献
- P. W. Atkins, Physical chemistry, sixth ed., W. H. Freeman & Co, 1997, p. 216.
- 農業機械学会編, 生物生産機械ハンドブック, 1996, p. 794.