水蒸気の物理的性質と産業上の応用

📌 主なポイント
- ✓水蒸気自体は無色透明であり目に見えないが、湯気は冷却されて凝結した微小な液体の水滴である。
- ✓標準大気圧(760 mmHg)における水の飽和温度(沸点)は100℃である。
- ✓水の臨界点は圧力220.64バール、温度373.95℃であり、これを超えると液体と気体の区別がなくなる。
- ✓水の三重点は温度0.01℃、圧力0.006112バールであり、国際単位系の温度定義の基準点に利用されている。
水蒸気(すいじょうき、スチームともいう)は、水が気化した蒸気である。空気中の水蒸気量、特に飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合は湿度と呼ばれる。
水蒸気と湯気の違い
水蒸気と湯気は状態と性質が異なり、水蒸気が気体で目に見えないのに対し、湯気は液体で目に見える状態である。霧、川霧、温泉の湯煙、湯を沸かしているやかんの口から出る湯気、寒い朝の白い息などは、水が蒸発後に冷却され凝結したものであり、生じた液体も直後に蒸発して瞬時に消えてしまうことが多い。



水と蒸気の熱力学的性質
一定圧力下で常温の水をゆっくり加熱すると、ある温度で蒸気に変わる。大気圧760 mmHgのもとでは100℃が基準となる。加熱に伴って水が蒸発し全体の体積が増加するが、その間温度は一定のまま変わらない。すべての水が蒸発して気体となった後、さらに加熱すると蒸気の温度は再び増加し始める。


蒸気となった水を冷却すると、同じ経路を逆にたどって凝縮し液体の水になる。一部の水が蒸発を始める温度はその圧力における飽和温度と呼ばれ、逆にその圧力は飽和圧力(飽和蒸気圧)と呼ばれる。標準大気圧における水の飽和温度は100℃であり、飽和圧力は760 mmHg = 1013.25 hPaである。飽和温度は圧力が上昇すると共に上昇する。




臨界点と三重点
圧力が高くなると、気体の飽和蒸気の比体積は小さくなり、ある圧力で飽和水と飽和蒸気の状態は一点に合体する。この状態は臨界点と呼ばれ、臨界点以上の圧力では液体と気体の区別をつけることができなくなる。水の臨界点は、圧力220.64バール、温度373.95℃である。
また、密閉容器中で湿り蒸気を冷却すると温度と圧力が低下し、ある温度で氷が生じる三重点に達する。水の場合の三重点は、温度0.01℃、圧力0.006112バールであり、国際単位系の温度定義の基準点に用いられている。
水蒸気の利用
食品分野では古くから蒸し料理や食品加工、焼成に用いられており、スチームコンベクションオーブンや炊飯器、圧力釜などに利用されている。また、産業革命以降は熱エネルギーから運動エネルギーへの変換動力源として蒸気機関や汽力発電の蒸気タービンに活用されている。このほか、蒸気暖房やスチームクリーナーなどにも用いられている。
よくある質問
水蒸気と湯気は何が違いますか?
水の臨界点とはどのような状態ですか?
水の三重点の温度と圧力はいくつですか?
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参考文献
山下晃「手作り実験あれこれ――教育の現場からPart 3 (1)」可視化情報学会誌, 1998年。
伊與田浩志「食品加工における過熱水蒸気利用に関する研究」日本食品工学会誌, 2024年。