水彩画の技法と歴史

📌 主なポイント
- ✓水彩絵具の主原料は顔料と展色剤のアラビアガムであり、乾燥後も水に溶け出して再利用できる。
- ✓イギリスでは18世紀から19世紀にかけてターナーらの活躍により、水彩画が独立した絵画メディアとして発展した。
- ✓日本においては明治時代に大下藤次郎らが『水彩画之栞』の刊行や専門雑誌の創刊を通じて普及に貢献した。
水彩画(すいさいが)は、水を溶剤とする絵具を用いて描かれた絵画、およびその絵具そのものを指す言葉である。絵具を厚く塗り重ねるのではなく、薄い色水を塗り重ねていくような表現方法が特徴であり、空気感や透明感、空間的広がりを表現するのに適している。比較的安価に入手できることから、幅広い年齢層に親しまれている。
歴史
水彩画の歴史は非常に古く、旧石器時代のヨーロッパの洞窟壁画にまで遡ると考えられている。エジプト王朝時代から写本彩色のために使用され、中世ヨーロッパでも継続的に用いられた。芸術の手段としての確固たる歴史はルネサンス期に始まり、ドイツの画家アルブレヒト・デューラーが植物や動物、風景を描いた優れた水彩画を残している。
18世紀から19世紀にかけてのイギリスでは、地質学や考古学の探検記録、グランドツアーの記念品、あるいは貴族の教養として水彩画が広く普及した。「イギリス水彩画の父」と呼ばれるポール・サンドビーをはじめ、トマス・ガーティンやジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーらの活躍によって、水彩画は独立した成熟した絵画メディアとしての地位を確立した。
日本においては、幕末から明治初期にかけて西洋画法の一つとして伝えられた。明治30年代後半には大きなブームが起き、「みづゑ」とも称された。大下藤次郎が入門書『水彩画之栞』を刊行し、専門雑誌『みづゑ』を創刊するなど、国内における普及に大きな貢献を果たした。
主な画材
水彩絵具
水彩絵具は、主に透明水彩絵具(ウォーターカラー)と不透明水彩絵具(ガッシュ)に大別される。主原料は顔料と展色剤であるアラビアガムであり、保湿剤としてグリセリンなどが含まれる。乾燥後も水に再溶解する性質を持つ。透明水彩はアラビアガムを多く含み、下地を透かす薄塗りに適している一方、不透明水彩は顔料や増粘剤が多く覆い隠す表現に適している。
筆と紙
筆にはイタチやリス、ウシなどの獣毛やナイロン製が用いられ、特にコリンスキーと呼ばれるイタチの毛を使った筆などが高く評価されている。また、支持体には吸水性や表面のテクスチャーが考慮された専用の「水彩紙」が使用され、コットンやパルプなどを原料とした多様な種類が存在する。
よくある質問
透明水彩と不透明水彩の違いは何ですか?
水彩絵具が乾燥後も再び水に溶けるのはなぜですか?
日本における水彩画の普及には誰が貢献しましたか?
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参考文献
- ミッシェル・クラーク『ビジュアル美術館 第7巻 水彩画の技法』
- 橋 秀文『カラー版 水彩画の歴史』
- 八重樫春樹『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館