化学
亜硫酸の化学的性質と水溶液中での平衡状態

亜硫酸(化学式H2SO3)の化学的性質、水溶液中における平衡状態、塩類、および関連する化学反応について詳しく解説する事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓亜硫酸の化学式は H2SO3 であり、モル質量は 82.07 g/mol である。
- ✓遊離酸は不安定なため単離することができない。
- ✓水溶液中では二酸化硫黄、水素イオン、亜硫酸水素イオンの間で平衡状態を形成している。
- ✓亜硫酸塩は安定であり、水溶液中で溶存酸素と反応することから脱酸素剤として用いられる。
亜硫酸(ありゅうさん、sulfurous acid)は、化学式 H2SO3 で表される硫黄のオキソ酸である。二酸化硫黄の水溶液中に存在するとされる酸であり、モル質量は 82.07 g/mol である。酸性雨に含まれる物質の1つとしても知られている。

遊離酸は不安定なため単離できない。古くは水溶液として存在すると考えられていたが、ラマンスペクトルにおいて (HO)2SO という構造を持つ化合物が全く検出されないことから、実際には水溶液中での平衡は以下のような状態にあると考えられている。

この反応の平衡定数は K1 = 1.3 × 10−2 である。また、水溶液中では、亜硫酸水素イオンは2量化した構造との平衡にある。

さらに、亜硫酸イオンは溶存酸素と反応して硫酸イオンへと変化する性質を持つ。


塩
亜硫酸の塩は安定であり、この性質は炭酸に類似している。水溶液中では溶存酸素と反応する特性があるため、脱酸素剤として利用されている。主な亜硫酸塩には以下のものがある。
- 亜硫酸アンモニウム ((NH4)2SO3)
- 亜硫酸カリウム (K2SO3)
- 亜硫酸カルシウム (CaSO3)
- 亜硫酸水素カルシウム (Ca(HSO3)2)
- 亜硫酸水素ナトリウム (NaHSO3)
- 亜硫酸ナトリウム (Na2SO3)
- 亜硫酸バリウム (BaSO3)
- 亜硫酸マグネシウム (MgSO3)
- 亜硫酸鉄 (FeSO3)
結晶構造およびラマンスペクトル解析から、亜硫酸水素イオンには水素原子が硫黄原子に結合した構造(H−SO3−)と、水素が酸素原子に結合した構造(HO−SO2−)の異性体が存在することが明らかにされている。溶液中では相互変換により、両者の比率が温度に依存して変化する。
よくある質問
亜硫酸は単離することができますか?
いいえ、遊離酸は不安定なため単離することはできません。水溶液中の平衡状態として存在しています。
亜硫酸塩はどのような用途で使用されますか?
水溶液中で溶存酸素と反応して硫酸イオンに変化する性質を持つため、脱酸素剤などとして利用されています。
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参考文献
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