植物・樹木
富山県の特異なスギ品種「タテヤマスギ」の生態と主な自生地

富山県の東部・立山山岳地帯に自生するタテヤマスギの生態、耐雪性、主な自生地、および県内の著名な巨木について解説します。
📌 主なポイント
- ✓タテヤマスギは富山県東部の立山山岳地帯に自生し、寒さや雪に強い耐雪性を持つスギの品種である。
- ✓垂直分布の上限は標高2,070メートルに達し、高所のスギ林は伏条更新で増殖した単一クローンが多い。
- ✓富山県の県木および立山町の町木に指定されている。
タテヤマスギ(立山杉)は、富山県東部の立山を中心とする山岳地帯に自生するスギ、および造林用に育苗された品種を指す名称である。
生態と特徴
寒さや雪に強い優れた耐雪性を持つことが特徴であり、垂直分布の上限は標高2,070メートルに達する。木材としては年輪の幅が狭く、強度に優れていることから、主に建築材料として利用されてきた。また、標高1,700メートル以上に生息するものは、かつての温暖期に分布を広げた後に寒冷化によって取り残された遺存分布であるとされており、その高所におけるスギ林の大部分は伏条更新によって増殖した単一クローンで構成されている。
タテヤマスギは富山県の県木および立山町の町木に指定されている。
主な自生地
立山杉の自生地や関連する森林景観として、以下の地域が知られている。
- 美女平・ブナ平(中新川郡立山町):立山黒部アルペンルート周辺に位置し、「立山美女平・ブナ坂・下ノ小平」として森林浴の森100選に選定されている。
- 中山・五本杉ノ平(中新川郡上市町)
- 洞杉(魚津市):「洞杉及び岩上植物群落」として市の天然記念物に指定されている。
- 杉沢の沢スギ(下新川郡入善町):国の天然記念物に指定されている。

著名な立山杉と巨木群
富山県内には、幹周や樹高において特筆すべき巨木や、地域の文化財・歴史的背景を持つ立山杉の古木が多数存在する。
- 仙洞スギ(中新川郡立山町芦峅寺):幹周9.4メートル、樹高21メートル。「ブナ平立山のスギ」として林野庁の「森の巨人たち百選」に選定されている。
- 不老樹(中新川郡立山町芦峅寺):幹周10.5メートル、樹高34メートルを誇り、3本の木が固まって立っている。
- 美女杉(中新川郡立山町芦峅寺):美女平駅の脇に立つ2本の木。
- 芦峅雄山神社境内杉林(中新川郡立山町芦峅寺):幹周2〜6メートルの木が122本自生しており、県の天然記念物に指定されている。
- 中村の大杉(中新川郡上市町中村):樹高20メートル余りで、町の天然記念物に指定されている。
- 大沢の地鎮杉(魚津市大沢):幹周8.5〜10メートル、樹高約40メートルで、県の天然記念物に指定されている。
- 立山杉の古木(滑川市中野):幹周3.1メートル、樹高約30メートルで、市の天然記念物に指定されている。
- 日吉社の大杉(小矢部市杉谷内):市の天然記念物に指定されている。
- 御手植え杉(富山市西笹津):1947年に昭和天皇が植樹した3本の木。




よくある質問
タテヤマスギはどのような環境に自生していますか?
富山県東部の立山を中心とする山岳地帯に自生しており、標高2,070メートルが垂直分布の上限となっています。
タテヤマスギの木材としての特徴は何ですか?
年輪の幅が狭く、強度に優れているという特徴があり、主に建築材料として利用されてきました。
タテヤマスギの主な自生地や巨木が見られる場所にはどこがありますか?
美女平・ブナ平、洞杉(魚津市)、杉沢の沢スギ(入善町)のほか、芦峅雄山神社境内や大沢の地鎮杉などが知られています。
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参考文献
- 北日本新聞 『富山県の県木に指定されている樹木といえば?』 2011年8月28日
- 石須秀知 「富山県の木天然スギがおもしろい!(1)力強いタテヤマスギ」 『北日本新聞』 2017年3月14日
- 富山大百科事典編集事務局編 『富山大百科事典』 下、北日本新聞社、1994年、175頁。
- 高桑進 「杉と日本人のつながりについて」 『研究紀要』第25巻、京都女子大学宗教・文化研究所、2012年、19-40頁。