地理学
多島海:定義と地理的特性

多島海(アーキペラゴ)の定義、地理的形成プロセス、および世界各地の代表的な多島海域について解説します。
📌 主なポイント
- ✓多島海は英語の「archipelago」の訳語であり、多数の島嶼が存在する海域を指す。
- ✓沈水海岸において、山地の頂上部が海面に露出することで形成されることが多い。
- ✓日本は国土地理院の調査により14,125の島々で構成されている。
多島海(たとうかい)とは、多数の島嶼が密集して存在する海域を指す地理学上の用語です。英語の「archipelago(アーキペラゴ)」の訳語として用いられます。この語はもともとギリシア語の「Arkhipélagos(主要な海)」に由来し、かつてはエーゲ海を指す固有名詞でしたが、現代では一般的に多数の島々が集まる海域や、それら島嶼そのものを指す言葉として定着しています。
地理的形成
多島海は主に沈水海岸の地形的特徴によって形成されます。地殻変動による沈降や海面の上昇により、かつての山地や丘陵の頂上部のみが海面に残り、周囲が水没することで多数の島が生まれます。比較的狭い海域に島々が密集している状態を島嶼群と呼び、その規模や形状に応じて諸島、列島、群島といった名称で分類されます。

世界各地の多島海
世界には多様な多島海が存在し、それぞれの地域で独自の景観を形成しています。
- エーゲ海:約2,500の島々を擁し、多島海の語源ともなった海域です。
- 日本:国土地理院の調査によれば14,125の島々から構成される島国であり、松島湾や瀬戸内海、九十九島などが多島海景観として知られています。
- インドネシア:世界最大級の多島海国家であり、18,000を超える島々を抱えています。
- フィリピン:7,000以上の島々で構成される多島海国家です。




人文思想における多島海
多島海は単なる地理的対象にとどまらず、思想や文明論の文脈でも語られます。経済史家の川勝平太は、海洋国家の発展を論じる「海洋史観」の中で多島海文明という概念を提唱しました。また、人類学者の今福龍太は、カリブ海の詩人たちの考察を通じて、島々が孤立するのではなく、接続的で広範な帰属意識を生む「群島的」な世界観について論じています。
よくある質問
多島海と諸島はどう違いますか?
多島海は「多数の島が存在する海域」そのものを指すのに対し、諸島は「島々の集まり」という島嶼の集合体を指す言葉として使い分けられることが一般的です。
多島海はどのようにしてできるのですか?
主に沈水海岸の地形において、地殻沈降や海面上昇によって陸地が水没し、高い部分だけが島として残ることで形成されます。
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参考文献
- 国土地理院「日本の島の数」(2024年1月5日閲覧)
- コトバンク「多島海とは」(2022年8月20日閲覧)
- 川勝平太『文明の海洋史観』中央公論新社, 1997年
- 今福龍太『群島—世界論』岩波書店, 2008年