学術・科学

技術の概念と歴史的展開

技術の語源や歴史的変遷、科学との関係、および技法や技能についての百科事典的解説。

📌 主なポイント

  • 技術の語源は古代ギリシア語の「テクネー(technē)」に由来する。
  • 明治時代初期に西周が「mechanical art」の訳語として「技術」の語を用いた。
  • 「科学技術」という言葉は、昭和15年前後から技術官僚の間や政府への意見書などを通じて急速に普及した。

技術(ぎじゅつ、英語: technique, technology)とは、物事に関する取り扱いや処理の方法、手段、あるいは巧みに行う技や技巧を指す言葉である。広義には、科学の研究成果を人間の生活に役立たせる方法や、自然を改変・加工する手段全般を意味する。

語源と歴史的背景

「テクニック」や「テクノロジー」の語源は、古代ギリシア語の「テクネー(technē)」に由来する。古代ギリシアにおいてテクネーは、人間の制作活動に伴う知識や能力全般を指し、学問や芸術、理知を伴う制作能力として理解されていた。アリストテレスの哲学においては、技術は単なる経験的習熟ではなく、真の理知を伴う普遍的かつ個別的な真理認識の能力として位置づけられていた。

18世紀の啓蒙主義や機械論の影響下で、ドイツの大学を中心に「技術学(テクノロジー)」としての体系化が進んだ。フランシス・ベーコンらの自然哲学的研究を経て、技芸に関する学問は近代的な科学技術へと発展していった。

科学との関係と「科学技術」の成立

歴史的に技術は科学よりも古い起源を持つが、19世紀以降、物理学や化学などの近代科学と技術が接近・融合するようになった。日本においては、明治時代初期に西周が「mechanical art」の訳語として「技術」という言葉を採用した。その後、昭和時代に入り、科学と技術の密接な結びつきを表現する言葉として「科学技術」という用語が広く普及していった。

技法と技能

技術を実践する際の手法は技法と呼ばれ、それを用いる個人や集団の能力は技能(スキル)と称される。文化人類学者のマルセル・モースは、人間が社会の中で伝統的に身体を用いる方法を「身体技法」として定義し、その伝承における模倣や言語の役割について論じている。

よくある質問

技術の語源は何ですか?
技術の語源は古代ギリシア語の「テクネー(technē)」であり、制作活動に伴う知識や能力、技芸などを指していました。
日本語の「技術」という言葉はいつから使われていますか?
明治時代初期に西周が『百学連環』の中で「mechanical art」の訳語として「技術」を用いたのが現在の意味での最初の例とされています。
「科学技術」という言葉はいつ頃から使われ始めたのですか?
昭和15年(1940年)ごろから、科学と技術の融合や振興を目指す文脈の中で使われるようになり、昭和16年には広く受け入れられました。

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参考文献

  • 石川晃弘「日本大百科全書(ニッポニカ) - 技術史観」小学館・朝日新聞・VOYAGE GROUP.
  • 佐々木力『科学論入門』岩波書店、1996年。
  • 平野千博「「科学技術」の語源と語感」『情報管理』第42巻、科学技術振興機構、1999年。
  • M. モース『社会学と人類学Ⅱ』弘文堂、1973年。