河床が周囲の平面地より高くなった河川、天井川の構造と地理的特徴

📌 主なポイント
- ✓天井川とは、砂礫の堆積により河床が周辺の平面地よりも高くなった河川を指す。
- ✓2014年時点で、全国29都道府県に少なくとも240の天井川が存在し、その約半数が関西地方に集中している。
- ✓滋賀県に天井川が多いのは、花崗岩質の山地と歴史的な森林伐採に起因する土砂流出が主な要因である。
天井川(てんじょうがわ)とは、砂礫の堆積により河床(川底)が周辺の平面地よりも高くなった河川のことである。
形成メカニズム
河川に堤防が作られて氾濫が抑制され、流路が安定すると、河床に土砂が継続的に堆積して次第に河床が上昇する。これに合わせて堤防を高くすることを繰り返すうちに、川底が周囲の平地よりも高い位置になる天井川が形成される。天井川が万が一氾濫した場合には、河床の方が周囲より高いために川へ水を戻しにくく、被害が拡大しやすいという特徴を持つ。

一方で、天井川が廃川となった旧河道は、堆積した砂礫によって水はけがよく、建築物の基礎の支持力も発揮されやすいため、宅地として利用されることが多い。
日本の天井川
国土交通省や都道府県などの行政機関は、人口密集地など土地利用が進む地域の河川において、河川の付け替えや拡幅といった治水事業を実施している。河川改修が地理的条件から困難な箇所では、陸閘の設置などで対応が図られている。

2014年(平成26年)時点の調査によれば、全国29の都道府県に少なくとも240の天井川が存在している。そのうち半数にあたる122が関西地方に集中しており、さらに滋賀県には全体の3分の1に相当する81の天井川が分布している。

滋賀県に天井川が多い背景には、琵琶湖周辺の山々が風化しやすい花崗岩で構成されていたことに加え、古代からの都城造営や寺社建立、住民の生活燃料のための過度な森林伐採により自然破壊が進んだ歴史がある。江戸時代には全国的に知られる禿山となり、保水能力が失われた山地から河川への土砂流出が繰り返された。明治以降は治山事業による植林で森林が再生されている。

天井川トンネル
河床が高くなりすぎた天井川では、河床の下にトンネルを掘り、その中を鉄道や道路が通過するように設計された「天井川トンネル」が各地に存在する。例えば、JR東海道本線はかつて草津川や芦屋川、住吉川などを天井川トンネルで越えていた歴史や現在も続く構造を持つ。また、京都盆地南部を通るJR奈良線や片町線、近鉄京都線などでも同様の構造が見られる。