領海:国際法における定義と沿岸国の主権

📌 主なポイント
- ✓領海は基線から最大12海里まで設定される。
- ✓領海には水域、上空、海底、および海底下の地層が含まれる。
- ✓沿岸国は領海内において他国船舶の無害通航を受忍する義務がある。
領海(territorial sea)とは、沿岸国の基線から最大12海里(約22.2キロメートル)までの範囲に設定される帯状の水域であり、沿岸国の主権が及ぶ領域の一部です。領海には、水域だけでなくその上空、海底、および海底下の地層も含まれます。
歴史的背景と海洋論争
17世紀初頭、海を万民共有物とする考え方と、国家による支配を認める考え方の間で「海洋論争」が繰り広げられました。フーゴー・グロティウスは『自由海論』において海洋の自由を主張しましたが、ジョン・セルデンは『閉鎖海論』で国家による物理的支配の可能性を説きました。18世紀以降、国家の秩序維持に必要な「狭い領海」と、通商の自由を重視する「広い公海」という二元構造が国際慣習法として定着しました。
領海の範囲と基線
領海の幅を測定する起算点となる線を「基線」と呼びます。基線の設定方法には主に以下の種類があります。
- 通常基線:大縮尺海図上の低潮線に沿って引く方式。
- 直線基線:海岸線が複雑な形状である場合に、特定の点を直線で結ぶ方式。
- 群島基線:群島国家が最も外側の島々を結ぶ方式。
基線より内側の水域は「内水」と呼ばれ、領海とは異なる法的性質を持ちます。
無害通航権
領海内において、沿岸国は他国船舶の「無害通航」を受忍する義務があります。無害通航とは、沿岸国の平和、秩序、または安全を害しない航行を指します。国連海洋法条約第19条では、軍事演習や諜報活動など、無害ではない活動が具体的に列挙されています。
国際海峡
国際航行において重要な役割を果たす国際海峡は、領海の一部であっても特別な扱いを受けます。国連海洋法条約では、通常の領海における無害通航よりも権利の範囲が広い「通過通航権」が認められており、船舶や航空機は継続的かつ迅速な通過を目的として自由に航行・飛行することが可能です。
境界画定
向かい合う国や隣接する国同士で領海の範囲が重なる場合、原則として基線から等距離にある「中間線」を用いて境界が画定されます。ただし、歴史的な経緯や海岸の形状を考慮し、別の方式が採用されることもあります。
よくある質問
領海と内水の違いは何ですか?
無害通航とはどのような航行ですか?
領海の幅はどのように決まりますか?
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参考文献
- 筒井若水『国際法辞典』有斐閣、2002年。
- 杉原高嶺他『現代国際法講義』有斐閣、2008年。
- 山本草二『国際法【新版】』有斐閣、2003年。
- 小寺彰他『講義国際法』有斐閣、2006年。