国際法・地理用語
国家領域における領土の概念と法的性質
国家の主権が及ぶ基本単位である領土の定義、国際法上の位置づけ、および経済領土の概念について解説します。
📌 主なポイント
- ✓広義には領海や領空を含めた国家領域を指し、狭義には土地からなる領域を指す。
- ✓国際法上、領水のない国家はありうるが、領土のない国家はありえないとされる。
- ✓自国領土における国家の権能である領域主権は広範かつ排他的である。
広義の領土は、領海や領空を含めた国家の主権が及ぶすべての国家領域を指すが、狭義にはこれらのうち土地からなる領域を指し、版図とも呼ばれる。
国際法における領土の位置づけ
領土は国家領域の基本とされており、国際法の基本的な考え方においては、領水のない国家は存在しうるが、領土のない国家は存在しえないとされる。
領水や領空は領土から独立して存在しうるものではなく、領土の従物として領土と区別することが可能である。自国領土における国家の権能である領域主権は広範かつ排他的なものであり、例えば領海における他国船舶の無害通航の尊重のような義務は課されない。
歴史的実体と主権の維持
マルタ騎士団のように、かつて領土を有していた経緯から国際法上の「主権実体」として認められる国もあるが、国際連合では「政府間組織以外の実体」として、国際赤十字や国際オリンピック委員会などの非政府組織と同じ扱いとされている。
また、気候変動などによる不可抗力によって物理的な領土が失われる可能性がある場合においても、領土が失われて主権が維持されるという考え方が議論されることがある。
経済領土の概念
自国企業が関税を課されることなく経済活動を行える範囲のことを領土になぞらえて「経済領土」と呼ぶ表現がある。例えば大韓民国においては、自由貿易協定(FTA)などの締結に関連して大統領が公式に発言するなど重視されており、FTA締結時には経済領土の拡張として報道されることがある。
よくある質問
領土の狭義と広義の違いは何ですか?
狭義では土地からなる領域を指し、広義では領海や領空を含めた国家の主権が及ぶ全ての国家領域を指します。
国際法において領土はどのような位置づけですか?
国家領域の基本とされており、領水のない国家はありうるが領土のない国家はありえないというのが基本的な考え方です。
経済領土とは何ですか?
自国企業が関税を課されることなく経済活動を行える範囲を領土になぞらえた表現で、主に自由貿易協定(FTA)などの文脈で使用されます。
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参考文献
- 小寺彰、岩沢雄司、森田章夫『講義国際法』有斐閣、2006年。
- 筒井若水『国際法辞典』有斐閣、2002年。
- 日本経済新聞「韓国大統領『経済領土は世界一』 米韓FTA合意」2010年12月7日。
- 中央日報「韓国の経済領土、世界3位へ」2011年10月14日。
- 聯合ニュース「韓国の『経済領土』が世界2位に 中国とFTA交渉妥結」2014年11月10日。