無機化学

テルル化水素の化学的性質と構造

テルル化水素の化学的性質と構造
テルルと水素からなる無機化合物「テルル化水素(H2Te)」の構造、化学的性質、物理的性質、および危険性について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • テルル化水素の化学式は H2Te である。
  • IUPAC組織名はテラン (tellane) である。
  • ニンニクやネギのような腐敗臭を持つ有毒な気体である。
  • 空気中で容易に酸化され、水とテルルに分解する吸熱性化合物である。

テルル化水素(テルルかすいそ、hydrogen telluride)は、化学式が H2Te と表される、テルルと水素からなる無機化合物であり、カルコゲン化水素の一つである。IUPAC組織名はテラン (tellane)。テルルの形式酸化数は −2価であり、もっとも単純なテルリドの一つとして知られている。

液体のテルル化水素
液体のテルル化水素

化学的および物理的性質

常温において、テルル化水素はニンニクや腐敗したネギのような刺激臭を持つ無色の気体である。セレン化水素や硫化水素と性質が類似しているが、熱力学的に吸熱性化合物であり、空気中では不安定である。空気中に放置されると容易に酸化され、水とテルルを生じて分解する。

テルル化水素と酸素の反応式
テルル化水素と酸素の反応式

水に溶解した水溶液(テルル化水素酸)中では、テルル化物イオン (Te2−) と水素イオンに電離するため酸性を示す。酸解離定数はおよそ 2.3×10−3 と報告されている。また、多くの金属と反応して金属テルリドを生成する特性を持つ。

分子構造

テルル化水素の分子形状は屈曲型(bent)であり、中心原子であるテルル周囲の電子対反発則に従った構造をとる。

テルル化水素分子の構造図
テルル化水素分子の構造図
テルル化水素分子の空間充填モデル
テルル化水素分子の空間充填モデル

安全性と危険性

テルル化水素は猛毒であり、可燃性も併せ持つ危険な物質である。労働安全衛生や化学物質の取り扱いにおいては、その強い毒性と不安定な性質に十分な注意が必要となる。

NFPA 704の危険物表示ダイヤモンド
NFPA 704の危険物表示ダイヤモンド

よくある質問

テルル化水素の化学式は何ですか?
化学式は H2Te です。
テルル化水素はどのような臭いがしますか?
ニンニクや腐敗したネギのような強い刺激臭を持ちます。
テルル化水素のIUPAC名は何ですか?
IUPAC組織名はテラン (tellane) です。

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参考文献

  • Lide, David R., ed (2006). CRC Handbook of Chemistry and Physics (87th ed.). Boca Raton, FL: CRC Press. ISBN 0-8493-0487-3
  • Egon Wiberg; Arnold Frederick Holleman (2001). Nils Wiberg. ed. Inorganic chemistry. Academic Press. p. 589. ISBN 0123526515
  • Henry Enfield Roscoe; Carl Schorlemmer (1878). A treatise on chemistry. 1. Appleton. pp. 367–368