無機化学
テトラクロリド金(III)酸の性質と製法

テトラクロリド金(III)酸(塩化金酸)の化学的性質、王水や塩化金(III)を用いた製法、および毒性や安全性について解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓化学式は HAuCl4 で表される3価の金のクロリド錯体である。
- ✓通常は四水和物として存在し、淡黄色の針状結晶をなす。
- ✓金を王水に溶解させるか、塩化金(III)を塩酸に溶かすことで得られる。
- ✓日本国内では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
テトラクロリド金(III)酸(テトラクロリドきんさん、英: tetrachloroauric(III) acid)は、化学式が HAuCl4 と表される3価の金のクロリド錯体である。一般には塩化金酸とも呼ばれる。

製法
基本的な製法として、金を王水に溶解させることによって得られる。

また、塩化金(III) AuCl3 を塩酸に溶かして結晶化させることによっても調製が可能である。

性質
通常は四水和物 HAuCl4・4H2O として存在し、オキソニウムイオンを含む淡黄色の針状結晶を形成する。水やエタノール、エーテルなどに可溶である。水溶液中では黄色のテトラクロリド金(III)酸イオン [AuCl4]- を生じ、このイオンは四配位の平面四角形構造をとる。
潮解性があり、加熱すると分解して塩化金(III)と塩化水素を生成する。また、水溶液は橙黄色を示すが、光が当たると分解して表面に紫色の金コロイドが析出するという特徴がある。

毒性と安全性
金は一般に化学的に安定で不活性な金属として知られているが、無機金塩類は強い酸化作用と腐食性を持つ。日本国内では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
吸入した場合には鼻、喉、気管支の粘膜を刺激し、皮膚に接触した場合は赤色の斑点を残すことがある。さらに眼に入った場合には粘膜を激しく刺激するため、取り扱いに際しては十分な注意が必要である。
よくある質問
テトラクロリド金(III)酸の一般的な別名は何ですか?
一般には塩化金酸とも呼ばれています。
どのようにして製造されますか?
金を王水に溶かす方法や、塩化金(III)を塩酸に溶かして結晶化させる方法によって得られます。
法的な毒物の区分はどうなっていますか?
日本国内において、無機金塩類の一種として毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。
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参考文献
- 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成III』 丸善、1977年
- F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
- 毒物・劇物リスト(高エネルギー加速器研究機構 安全衛生管理室)