鉄塔の構造と役割に関する基礎知識

📌 主なポイント
- ✓鉄塔の骨組みには等辺山形鋼や鋼管が用いられ、ボルト等で接合されている。
- ✓送電用鉄塔の番号は発電所側を若番、その反対側を老番として順に振られる。
- ✓送電線の最上部には直撃雷を防ぐための架空地線が設置される。
鉄塔(てっとう、英語: Lattice tower)は、鉄製の骨組み構造から構成される細長い建造物である。特に送電用の鉄塔は基礎が各脚に設けられており、トラス構造を採用している点が大きな特徴である。基礎が一体型となっている「鉄柱」とは区別される場合もあるが、本項では鉄柱に分類されるものも含めて記述する。
鉄塔は、送電線の支持をはじめ、携帯電話などの基地局や放送局の送信所といったアンテナの支持、気象観測、灯台、消防の望楼など、多岐にわたる用途に用いられている。放送用の大型鉄塔などは周辺の景観やデザインに配慮して作られることもあり、場所によっては観光地となっている例も存在する。また、エレベータの設置に用いられる四角柱型の鉄塔や、アマチュア無線のアンテナ支持など、家庭に設置される目的のものもある。

構造と材料
鉄塔の骨組みには、等辺山形鋼(断面がV字型またはL字型の鋼材)や鋼管が用いられ、これらをボルトなどで接合している。同じ材料使用量であれば、鋼管の方がより高い強度が得られるとされている。また、電力会社の一部では、内部にコンクリートを充填した鋼管で組まれた特殊な鉄塔(MC鉄塔など)が採用されることもある。山形鋼および鋼管のいずれにおいても、基本的には溶融亜鉛めっきなどの防錆加工が施されている。

地面に対しては「基礎」と呼ばれる強固な鋼材やコンクリートを埋め込み、その上部に鉄製の構造物を固定する。大型の鉄塔では、地上に露出している部分を鉄筋コンクリートなどで補強することがあり、鉄の腐食を防ぐために地上から必要な高さまでをコンクリートで包む「根巻きコンクリート」が施工される場合もある。

送電用の鉄塔では、路線ごとに発電所側を1基目(No.1)として順に番号が振られる。発電所側を「若番」、その反対側を「老番」と呼び、4本ある脚については、若番側を下・老番側を上とした四角形を基準として、右下から時計回りにA脚、B脚、C脚、D脚と呼称される。基本的にはA脚が昇塔脚となり、昇塔用ステップやセーフティーレール、セーフティーワイヤーが設置される。

架空地線と電力線
送電線を支持する鉄塔の最上部には、落雷を避雷針のように誘導して送電線への直撃を防止する「架空地線」が設けられている。架空地線は電磁誘導障害や電波障害を軽減する役割を持つこともある。設置本数は下部の電力線アームの横開き距離によって、とんがり帽子型の天辺に1本設置する場合と、地線アームによって2本設置する場合に分かれる。近年では、電線の中心に通信用光ファイバーを内蔵した光ファイバ複合架空地線(OPGW)を採用する例も見られる。
なお、地線アームを除いた電力線アームの本数は、発電所からの送電が3相交流(1アーム1相)であるため、原則として3の倍数となる。
航空法の規定に基づき、昼間障害標識としての役割を持つ紅白塗装や、赤色またはストロボ状灯火の航空障害灯が取り付けられる場合もある。ただし、航空法制定以前に建設されたものについてはこの限りではない。



鉄塔をテーマとした作品
鉄塔はその独特の存在感から、小説や映画などのモチーフとして取り上げられてきた。
- 『鉄塔 武蔵野線』(銀林みのる著、新潮社、1994年) - 小説および1997年公開の映画。
- 『鉄塔のひと』(椎名誠著、『鉄塔のひと・その他の短篇』収録、新潮社、1994年)
- 『君と夏が、鉄塔の上』(賽助著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016年)



