物理学
熱力学サイクルの基礎と種類
熱力学サイクルの基本概念、理想サイクル、外燃機関・内燃機関・冷凍機の各種サイクルについて解説する事典記事。
📌 主なポイント
- ✓熱力学サイクルは熱機関の作業物質が行う循環的な動作を理想化したものである。
- ✓空気標準サイクルでは、動作物質を純粋な空気および理想気体と仮定して考察する。
- ✓外燃機関、内燃機関、冷凍機など、用途に応じて多様なサイクルが存在する。
熱力学サイクル(ねつりきがくサイクル、英語: thermodynamic cycle)あるいは単にサイクルとは、ヒートポンプを含む熱機関の作業物質が行う循環的な動作を理想化・単純化けしたものである。
実際の熱機関の動作は不可逆変化を伴うため、理論上の熱力学サイクルとは異なるが、熱機関の原理的理解や基本設計において重要な概念である。
理想サイクル
すべての熱機関の理論的な限界効率を示す基準として、カルノーサイクルが知られている。
外燃機関の熱力学サイクル
外燃機関に関連する代表的な熱力学サイクルには以下のものがある。
- ランキンサイクル(蒸気タービンなどで利用される)
- 再熱サイクル
- 再生サイクル
- 再熱・再生サイクル
- カリーナサイクル
- スターリングサイクル(カークサイクル)
- 分離型スターリングサイクル
- ヴィルマイアーサイクル
- ギフォードマクマホンサイクル(G.Mサイクル)
内燃機関の熱力学サイクル
内燃機関の実際の動作は、作業物質自身の燃焼、組成変化、排気の残留、成分の解離・結合、弁の開閉等によって複雑であるため、これを単純化した空気標準サイクルとして考察される。主な空気標準サイクルには以下が含まれる。
- オットーサイクル(火花点火エンジン)
- サバテサイクル(高速ディーゼルエンジン)
- ディーゼルサイクル(低速ディーゼルエンジン)
- アトキンソンサイクル
- ミラーサイクル
- ブレイトンサイクル(ガスタービンエンジン)
- エリクソンサイクル
冷凍機の熱力学サイクル
冷凍機やヒートポンプにおけるサイクルには、逆カルノーサイクルを基礎とした多様な方式が存在する。
- 逆カルノーサイクル
- 蒸気圧縮冷凍サイクル(エアコンや冷蔵庫などで広く利用される)
- ローレンツサイクル(非共沸混合冷媒を利用)
- 多段蒸気圧縮冷凍サイクル
- 多元冷凍サイクル
- 各種吸収冷凍サイクル(単効用、二重効用、三重効用など)
- 極低温用冷凍サイクル(リンデサイクル、クロウドサイクル、パルス管冷凍サイクルなど)
- ヘリウム希釈冷凍サイクル、ポメランチック冷凍サイクル、断熱消磁冷凍サイクル
- 吸着冷凍サイクル、ペルティエ効果を利用した電子冷却など
よくある質問
熱力学サイクルとは何ですか?
熱機関の作業物質が行う循環的な動作を理想化・単純化したものです。
空気標準サイクルとはどのようなものですか?
内燃機関の複雑な実際の動作を理論的に考察するため、動作物質を理想気体とし、可逆変化を仮定した理想化されたサイクルです。
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参考文献
柘植盛男、『機械熱力学』(1967)、朝倉書店