物理学・計測技術
サーモグラフィの概要と応用

物体から放射される赤外線を検出し、温度分布を可視化する技術「サーモグラフィ」の原理、医療・建築・産業分野での応用について解説します。
📌 主なポイント
- ✓サーモグラフィは、物体から放射される赤外線を解析して温度分布を可視化する技術である。
- ✓赤外線の放射強度は、物体の絶対温度の4乗に比例する。
- ✓建築分野では外壁の浮きや断熱不良の調査、電気設備では異常発熱の検知に利用される。
サーモグラフィ(英: thermography)は、物体から放射される赤外線を検出し、その強度を分析することで対象物の表面温度分布を画像として可視化する技術、またはその装置を指します。日本語の学術用語としては「サーモグラフィ」と表記され、長音を省略するのが一般的です。
原理
すべての物質は、その絶対温度の4乗に比例した強度の赤外線を放射しています。サーモグラフィ装置は、この赤外線に感光するセンサー(赤外線カメラ)を用いて対象を撮影し、放射強度を解析することで、目に見えない温度差を色分布などで表現します。


主な応用分野
医療
体表面の温度分布を測定し、血流状態の評価や炎症部位の特定に用いられます。また、空港や公共施設において、発熱を伴う疾患のスクリーニング検査として活用されることもあります。
建築・設備
建築分野では、外壁タイルの浮きや雨漏りの経路、断熱不良箇所の調査に利用されます。タイルとモルタルの接着強度が低下して空気層が生じると、太陽光や外気温の影響で温度差が発生するため、これをサーモグラフィで特定します。電気設備においては、接触不良による異常発熱箇所を検知する予防保全に不可欠な技術となっています。


軍事
軍事分野では「熱線暗視装置(サーマルイメージャー)」として知られています。遠赤外線帯域(波長4〜1000μm)を利用するため、光源がない環境下でも目標を視認でき、霧や煙幕を透過して探知することが可能です。航空機のIRSTやFLIR、個人用暗視装置などに広く搭載されています。
よくある質問
サーモグラフィで何がわかりますか?
対象物の表面温度分布を可視化し、温度差を色分けして表示することで、異常発熱や断熱不良、血流の変化などを視覚的に確認できます。
なぜ暗闇でも撮影できるのですか?
サーモグラフィは可視光ではなく、物体自体が放射する遠赤外線を検出するため、光源がない場所でも温度差があれば撮影が可能です。
「サーモグラフィ」と「サーモグラフィー」どちらが正しいですか?
学術用語としては「サーモグラフィ」と表記されます。なお、「サーモグラフィ」は一般社団法人日本赤外線サーモグラフィ協会の登録商標です。
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参考文献
- 文部省、日本物理学会編『学術用語集 : 物理学編』培風館、1990年。
- 文部省、日本分光学会『学術用語集 : 分光学編』(増訂版)培風館、1999年。
- 一般社団法人日本赤外線サーモグラフィ協会 登録商標(第5327592号)。
- 日本経済新聞「広がる感染症、難しい水際対策」(2018年11月14日)。