チオ炭酸イオンとその誘導体の化学的性質と合成法

📌 主なポイント
- ✓チオ炭酸イオンは炭酸イオンの酸素原子が硫黄原子に置換された陰イオンの総称である。
- ✓置換数に応じてモノチオ炭酸、ジチオ炭酸、トリチオ炭酸、ペルチオ炭酸が存在する。
- ✓トリチオ炭酸イオンはD3h対称性を持ち、1824年にツァイゼによって報告された。
- ✓トリチオ炭酸のエステルであるチオキサントゲン酸エステルはRAFT重合等に利用される。
チオ炭酸イオン(Thiocarbonate)は、炭酸イオン(CO32−)の酸素原子の一部または全部が硫黄原子に置き換わった陰イオンの総称である。置換される数に応じて、モノチオ炭酸(CO2S2−)、ジチオ炭酸(COS22−)、トリチオ炭酸(CS32−)などとして区別される。
これらの陰イオンは炭酸イオンと同様に炭素を中心とした平面構造をとり、炭素から硫黄または酸素への結合次数の平均は1と1/3である。化学的な特徴として、優れた求核剤や配位子として機能することが挙げられる。
モノチオ炭酸
モノチオ炭酸イオン(Monothiocarbonate)は、C2v対称性を持つ二価のイオン(CO2S2−)である。チオホスゲンの加水分解や、塩基と硫化カルボニル(COS)の反応によって生成される。

ジチオ炭酸
ジチオ炭酸イオン(Dithiocarbonate)も同様にC2v対称性を持つ二価のイオン(COS22−)であり、塩基水溶液と二硫化炭素(CS2)の反応によって生じる。

重要な誘導体としてキサントゲン酸エステル(ジチオカルボン酸塩のO-エステル、一般式ROCS2−)が挙げられる。これらは通常、ナトリウムアルコキシドと二硫化炭素の反応により調製される。
トリチオ炭酸
トリチオ炭酸イオン(Trithiocarbonate)は、D3h対称性を持つ二価のイオン(CS32−)である。1824年にハンス・クリスチャン・ツァイゼによって報告され、1826年にイェンス・ベルセリウスによって詳細な調査が行われた。これらは二硫化炭素を硫化水素カリウムなどの硫化水素塩に作用させることで合成される。

酸で処理すると、トリチオ炭酸が赤い油状物質として遊離する。

この酸およびその塩の多くは不安定であり、特に加熱により二硫化炭素を放出して分解する性質を持つ。

トリチオ炭酸のエステルはチオキサントゲン酸エステルと呼ばれ、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)などに利用されている。
ペルチオ炭酸
ペルチオ炭酸イオン(Perthiocarbonate)は、トリチオ炭酸イオンにさらに硫黄原子が追加されS-S結合を形成した二価陰イオン(CS42−)である。遊離型の純粋なペルチオ炭酸はまだ単離されていないが、暗赤色の油状液体として知られている。
よくある質問
チオ炭酸イオンとはどのような物質ですか?
トリチオ炭酸はどのように合成されますか?
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参考文献
- Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001.
- Berzelius, J. J. (1826). "Ueber die Schwefelsalze". Annalen der Physik.
- O'Donoghue, Ida Guinevere; Kahan, Zelda (1906). "CLXXIV.—Thiocarbonic acid and some of its salts". J. Chem. Soc., Trans.