公共交通機関における運行時刻表の歴史と現状

📌 主なポイント
- ✓時刻表は、鉄道やバスなどの公共交通機関の運行時刻を時系列や図表にまとめたものである。
- ✓世界初とされる近代的な鉄道時刻表の冊子は、1839年にイギリスのジョージ・ブラッドショウによって刊行された。
- ✓日本では1872年の鉄道開業時から駅ホームに掲出式の時刻表が使用され、定時法への移行に寄与した。
- ✓近年はインターネットやアプリの普及、コスト削減、需要減少に伴い、航空会社や鉄道各社による紙の時刻表や無料配布冊子の廃止・休刊が進んでいる。
時刻表(じこくひょう)とは、鉄道や路線バス、高速バス、旅客機、旅客船といった公共交通機関の運転時刻を時系列や図表形式にまとめた表、およびそれを多数掲載した冊子などを指す言葉である。近代における定時運行の普及とともに発展し、利用者の移動計画に欠かせない情報源として世界中で利用されてきた。

近代的な鉄道時刻表の歴史は19世紀前半に始まる。アメリカ合衆国では、ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道が1830年の開業に先立ち、同年5月20日の地元紙に運行予定を掲載したのが初期の例として知られている[21]。また、世界初の鉄道時刻表の冊子は、イギリスのジョージ・ブラッドショウによって1839年10月25日に刊行された『Bradshaw's Railmap Timetables, and Assistant to Railway Travelling, with Illustrative Maps & Plans』である[22]。

日本では、1872年(明治5年)の鉄道開業時から駅のプラットホームや待合室に掲出式の時刻表が使われ始めた[68]。この定時運行の定着は、日本人の時間に対する意識を不定時法から西洋式の定時法へと変化させる大きな契機となった[68]。その後、1889年には現存最古とされる冊子型の『改正鉄道便覧』が発行され、大正時代以降は民間の出版社による全国版の時刻表が発展した。

冊子型の全国版時刻表としては、1925年創刊の『JTB時刻表』(JTBパブリッシング発行)と、その後の『JR時刻表』(交通新聞社発行)が長く日本の代表的な公式・総合時刻表として親しまれてきた。これらはJR線や私鉄、第三セクター鉄道のほか、高速バスや航空路線、航路までを網羅している。

しかし、21世紀に入りインターネットやスマートフォンアプリによる経路検索サービスが普及したことや、コスト削減、さらに新型コロナウイルス感染症の流行に伴う需要の減少などを背景に、紙の時刻表を取り巻く環境は大きく変化した[13, 68]。航空分野では、JALやANAなどの各社が冊子型時刻表の無料配布を2023年までにすべて終了した[13]。また、鉄道分野においても駅ホーム上の掲出式時刻表の撤去や、各地の小型・ポケット時刻表の廃止、さらには海外の主要な時刻表(イギリスのナショナル・タイムテーブルやドイツ、スイスなどの一部冊子)の休廃刊が相次いでいる[53, 56, 68]。

一方で、『JTB時刻表』や『JR時刻表』のように、紙媒体としての資料的価値や愛好家向けの需要を守る形で刊行を継続している媒体もあり、デジタル化が進む現代においても、その独自の存在意義が議論されている[110]。
よくある質問
世界で最初の鉄道時刻表の冊子はいつ発行されましたか?
日本で現在も刊行されている最も古い全国版の時刻表は何ですか?
近年、紙の時刻表が減少しているのはなぜですか?
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参考文献
- 三宅俊彦『時刻表百年のあゆみ』交通研究協会〈交通ブックス107〉、1996年。
- 交通新聞社『JR時刻表』各号。
- JTBパブリッシング『JTB時刻表』各号。