植物
トウガラシ(植物)の概要と歴史

トウガラシ(Capsicum annuum)の植物学的特徴、歴史、栽培品種、および辛味成分カプサイシンについての百科事典的解説。
📌 主なポイント
- ✓トウガラシの学名はCapsicum annuumであり、1753年にリンネによって記載された。
- ✓辛味成分であるカプサイシンは、果皮よりも種子が付着する胎座部分に多く含まれる。
- ✓ピーマン、パプリカ、シシトウガラシは、植物学的にはトウガラシと同種の栽培品種である。
- ✓原産地は中南米であり、メキシコでは紀元前6500年頃から栽培されていた証拠がある。
トウガラシ(学名: Capsicum annuum)は、ナス科トウガラシ属に分類される植物である。原産地は中南米の熱帯地域であり、世界中で香辛料や野菜として広く利用されている。植物学上は多年草または低木だが、日本のような温帯地域では一年草として扱われることが多い。
植物学的特徴
トウガラシは草丈が70〜80センチメートルほどに成長し、茎は木質化する性質を持つ。葉は互生し、花期には白い花を咲かせる。果実は内部が空洞で、熟すと赤くなるのが一般的だが、品種によっては黄色や紫色になるものもある。辛味成分であるカプサイシンは、主に種子の付く胎座部分で生成される。
歴史的背景
トウガラシの栽培は、メキシコ中部で紀元前6500年から5000年頃にはすでに行われていたことが遺跡から確認されている。1493年、クリストファー・コロンブスがヨーロッパへ持ち帰ったことを契機に世界各地へ伝播した。アジアへは16世紀頃に伝来し、インドや中国、日本などの食文化に大きな変革をもたらした。日本へは安土桃山時代から江戸時代初期にかけて伝わったとされる。
栽培品種と分類
トウガラシ属には多様な品種が存在し、大きく分けて辛味種(ホットペッパー)と甘味種(スイートペッパー)に分類される。ピーマン、パプリカ、シシトウガラシなどは、いずれもCapsicum annuumの栽培品種である。主な栽培群には以下のようなものがある。
- Conoides group: 鷹の爪など、香辛料として利用される辛味の強い品種群。
- Grossum group: ピーマンやパプリカなど、果肉が厚く甘味のある品種群。
- Longum group: 伏見甘長など、果実が細長い品種群。
なお、キダチトウガラシ(C. frutescens)やハバネロ(C. chinense)などは、植物学上はトウガラシ(C. annuum)とは別種として扱われる。
よくある質問
ピーマンとトウガラシは別の植物ですか?
植物学上は同じ種(Capsicum annuum)に分類される栽培品種です。品種改良により、辛味成分がほとんど含まれないものがピーマンやパプリカとして定着しました。
トウガラシの種は辛いのですか?
辛味成分カプサイシンは種子そのものではなく、種子が付着している「胎座」という部分で生成されます。そのため、種子だけを食べても辛味はほとんど感じません。
トウガラシはいつ日本に伝わりましたか?
16世紀から17世紀頃の安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、複数のルートで伝来したと考えられています。
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参考文献
- Linnaeus, C. (1753). Species Plantarum. p.188.
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-). BG Plants 和名−学名インデックス(YList).
- 熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース.
- 『トウガラシの歴史』株式会社原書房、2017年.