トク・ピシン:パプアニューギニアの公用語である英語由来のクレオール言語
📌 主なポイント
- ✓トク・ピシンはパプアニューギニアの公用語の一つである。
- ✓英語を土台として発展したクレオール言語およびピジン言語である。
- ✓人称代名詞において単数、双数、複数の区別や、1人称の包括・除外の区別を持つ。
トク・ピシン(Tok Pisin)は、英語を土台として発展したクレオール言語、およびピジン言語であり、パプアニューギニアの公用語の一つである。言語名は「ピジン言語」を意味し、現地語で言葉や単語を表す「tok」とピジンを意味する「pisin」に由来する。数多くの異なる母語を持つ人々の間で共通語(リングワ・フランカ)として広く使用されている。
成立の背景
トク・ピシンの起源は、南太平洋地域やクイーンズランドなどのプランテーションへ労働者として送り込まれた、多様な母語を持つ太平洋諸島の人々による接触にさかのぼる。互いの意思疎通を図るために、主に英語を語彙的基礎としたピジン言語が形成された。その後、ドイツ統治下などの歴史的経緯を経て、ドイツ語やポルトガル語、オーストロネシア系の多様な現地語からの影響も取り込みながら、ニューギニア地域で言語として定着していった。
音声と表記体系
表記にはラテン文字が用いられ、基本的には表音的に記述される。音素の構成としては、地域差が存在するものの、一般的に18の子音と5つの母音から成り立っている。英語の単語や綴りをそのまま借用して取り入れている例も少なくない。
文法上の特徴
トク・ピシンの文法には、ピジン言語およびクレオール言語に共通するいくつかの際立った特徴が見られる。
人称代名詞
人称代名詞には単数、双数、複数の区別が存在するだけでなく、1人称の双数および複数には、聞き手を含む「包括」と、聞き手を含まない「除外」の区別がある点が特徴である。例えば、1人称単数は「mi」、3人称単数は「em」、3人称複数は「ol」となる。
名詞と数詞
名詞自体は通常、それ単体では数を示さず、必要に応じて数詞を伴って表現される。また、複数の概念を表す際には、3人称複数代名詞である「ol」を名詞の前に置いて表現することがある。数詞には「wanpela」(1)、「tupela」(2)のように、末尾に「-pela」という接尾辞が付くものが多く見られる。
動詞
自動詞と他動詞の間には明確な形態上の対立が存在し、他動詞には「-im」という接尾辞が付加される仕組みになっている。