日本の地方自治制度における特例市制度の歴史と概要

📌 主なポイント
- ✓特例市は法定人口20万人以上の都市を対象とした日本の地方自治制度の一つである。
- ✓2000年4月に制度が導入され、2015年4月1日の改正地方自治法施行に伴い廃止された。
- ✓制度廃止時に中核市へ移行していなかった都市は「施行時特例市」として従来の事務権限を維持している。
特例市(とくれいし)は、日本の地方公共団体のうち、法定人口が20万人以上の要件を満たし、地方自治法第252条の26の3第1項に定める政令による特別指定を受けた市を指す。都道府県が持つ事務権限の一部を市へ移譲し、都市の規模に応じた行政を効率的に行うためのかつての大都市制度の一つである。2015年の制度廃止に伴い、現在は新規の指定が行われておらず、廃止時に特例市であった自治体は「施行時特例市」として存続している。
制度の創設と背景
特例市制度は2000年(平成12年)4月1日から施行され、同年11月から2014年にかけて各市の指定が行われた。これにより、日本の大都市制度は政令指定都市、中核市、特例市の3段階構造となった。特例市に指定されるには、関係市からの申出に基づき、市議会および都道府県議会の議決を経た上で政令によって定められる必要があった。一度指定を受ければ、その後に人口が20万人を下回った場合でも特例市の指定が解除されることはなかった。
中核市との違いと移譲される事務
特例市には、中核市に準じた範囲の事務権限が移譲された。行政分野で見ると、環境保全行政や都市計画行政の一部において中核市に近い権限を有していた。しかし、民生行政(社会福祉関係)や保健衛生行政(保健所の設置など)、地方教育行政における教職員の研修関連権限などについては特例市への移譲がなされておらず、中核市との大きな違いとなっていた。
制度の廃止と施行時特例市への移行
中核市と特例市の区別を解消し制度を一本化するため、2014年5月に改正地方自治法が成立し、同法の施行に伴い2015年4月1日付で特例市制度は廃止された。これに伴い、中核市の人口要件が「20万人以上」に緩和されて両制度は事実上統合された。
制度廃止の時点で中核市へ移行していなかった特例市は「施行時特例市」となり、経過措置として従来の特例市としての事務権限を引き続き保持している。ただし、制度廃止後は一般市と同格の扱いとなり、将来的に中核市へ移行するためには改めて所定の手続きを行う必要がある。