日本語学
合略仮名「𪜈」の解説

片仮名の合字である「𪜈(トモ)」の歴史的背景、Unicodeへの登録経緯、および近世・近代における用例について解説します。
📌 主なポイント
- ✓「𪜈」は片仮名の「ト」と「モ」を組み合わせた合略仮名である。
- ✓近世から明治時代の公文書や文献で使用例が確認されている。
- ✓UnicodeではCJK統合漢字拡張C(U+2A708)に登録されている。
𪜈(読み:トモ)は、片仮名の「ト」と「モ」を組み合わせた合略仮名(合字)の一つです。近世から近代にかけての日本語の文書において、特定の語句を短縮して表記するために用いられました。
歴史的背景と用例
合略仮名は、限られた紙面や筆記の効率化を目的として、複数の仮名を一つの文字にまとめたものです。「𪜈」は「トモ」という音節を一つの文字で表現するものであり、明治時代の公文書や当時の文献に見ることができます。
例えば、明治5年(1872年)に太政官布告として出された『鐵道略則』には、「紛失毀損等アル𪜈(トモ)」や「証書ヲ取置𪜈(トモ)」といった形で使用例が確認できます。また、宇田川榕菴の『遠西医方名物考』(1822年)においても、同様の表記が見られます。なお、濁点を付して「𪜈゙(ドモ)」と表記される場合もありました。
Unicodeへの登録経緯
「𪜈」は、片仮名の合字でありながら、Unicodeでは「CJK統合漢字拡張C(CJK Unified Ideographs Extension C)」の領域(U+2A708)に登録されています。
2002年、日本グループはISO/IEC JTC 1/SC 2/WG 2に対し、今昔文字鏡に含まれる国字を中心とした漢字集合を提案しました。この際、「𪜈」は「トモ」の合略仮名として、典拠となる文献(下中邦彦編『大辭典』など)と共に提出され、収録が認められました。一方で、同時に提案された「ト云」や「トキ」といった他の合略仮名は、典拠の不足により収録が見送られました。現在、Unicode 11.0の時点においても、片仮名の合字としてCJK統合漢字に登録されているのは「𪜈」のみとなっています。
よくある質問
「𪜈」はどのような文字ですか?
「ト」と「モ」を組み合わせた片仮名の合字(合略仮名)です。
なぜ漢字の領域に登録されているのですか?
Unicodeへの提案時に、漢字集合の一部として提出され、典拠が認められたためCJK統合漢字拡張Cに登録されました。
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合略仮名仮名Unicode国字
参考文献
- 福井久藏撰輯『國語學大系: 第7卷』厚生閣、1938年。
- 『鐵道略則』(明治五年五月四日太政官布告第百四十六号)
- Ideographic Rapporteur Group, "IRG19 (N895)", 2002-05-06.
- 日本規格協会、国立国語研究所、情報処理学会『汎用電子情報交換環境整備プログラム 成果報告書』2009年3月。