日本の料理・食文化
日本の伝統的な肉料理「豚カツ」の歴史と発展

日本独自の進化を遂げた豚カツの歴史、調理法、専門店スタイルの定着、および関連料理について詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓豚カツは、豚のスライス肉に小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて油で揚げる日本料理である。
- ✓1899年に銀座の「煉瓦亭」が豚肉をディープ・フライで揚げるスタイルを取り入れたことが発展の契機となった。
- ✓1929年には「ポンチ軒」などが厚切り肉を包丁で切り分け、和定食のスタイルで提供して評判となった。
- ✓千切りの生キャベツや味噌汁、ご飯が定番の付け合わせとして定着している。
豚カツ(とんかつ)は、厚みのある豚のロースやヒレのスライス肉に、小麦粉、溶き卵、パン粉をまとわせ、食用油で揚げた日本料理である。「とんかつ」「トンカツ」とも表記され、単に「カツ」と呼ばれることもある。西洋から伝来したコートレットやカツレツを起源としつつ、日本の食文化の中で独自の発展を遂げた。

概要と調理法
カツレツが比較的少量の油でソテー(炒め揚げ)する調理法をとることが多いのに対し、豚カツは大量の油にどっぷりと浸して揚げるディープ・フライの調理法をとる。この調理法により、加熱時に肉に含まれる水分の蒸発が抑えられ、しっとりと柔らかな食感に仕上がるのが特徴である。
専門店では一般的に、茶碗飯、味噌汁、香の物をセットにした和食のスタイルで提供され、とんかつソース、ゴマ、辛子、塩などが添えられる。また、消化吸収を助けビタミンUを摂取できる生キャベツの千切りが添えられるのが定番となっている。

歴史的展開
明治時代初期、『西洋料理通』などの料理書には西洋のコートレットに由来する調理法が紹介されていた。その後、1899年(明治32年)に東京・銀座の洋食店「煉瓦亭」が、牛肉ではなく豚肉を用いた「ポークカツレツ」を天ぷらのように大量の油で揚げるスタイルで提供し、人気を集めた。
大正時代に入ると、露店などで「トンカツ」という名称の立ち食い料理が見られるようになり、永井荷風の随筆や高村光太郎の詩などにもその記述が登場する。1929年(昭和4年)には、上野の「ポンチ軒」などが厚切りの豚肉を包丁で切り分け、茶碗飯や味噌汁とともに和定食のスタイルで提供し、これが全国に広まる契機となった。
派生料理
豚カツはそのまま食べるだけでなく、他の料理と組み合わせて様々な派生料理を生み出している。
- カツカレー:カレーライスの上に豚カツを載せた料理。
- カツ丼:豚カツをタマネギやタレで煮て鶏卵でとじ、丼飯に載せた料理(卵でとじずにソースにくぐらせた「ソースカツ丼」もある)。
- カツサンド:ウスターソース等で味付けした豚カツをサンドイッチの具としたもの。
- 一口カツ:一口大のサイズにした素材を使ったもの、または串に刺した串カツ。
よくある質問
豚カツとカツレツの違いは何ですか?
カツレツが少量の油でソテー(炒め揚げ)する調理法をとることが多いのに対し、豚カツは大量の油で揚げるディープ・フライの調理法をとる点に違いがあります。
豚カツに生キャベツが添えられるのはなぜですか?
生キャベツの千切りは消化吸収を助け、ビタミンUを摂取できるため有意義とされ、定番の付け合わせとして定着しました。
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参考文献
- 岡田哲『とんかつの誕生 明治洋食事始め』講談社、2000年。
- 小菅桂子『にっぽん洋食物語大全』講談社、1994年。