物理学・計量単位
トル (圧力の単位)
圧力の単位である「トル(Torr)」の定義、歴史、および日本における計量法上の位置付けについて解説します。
📌 主なポイント
- ✓トル(Torr)はSI単位ではないが、日本の計量法において特定の生体内圧力の計量に使用が認められている。
- ✓1 Torrは正確に 101325/760 Pa と定義されている。
- ✓名称は気圧計の原理を発見したエヴァンジェリスタ・トリチェリに由来する。
トル(torr、記号: Torr)は、圧力の単位である。メートル法に基づいているが、国際単位系(SI)の単位ではない。名称は、17世紀のイタリアの科学者エヴァンジェリスタ・トリチェリに由来する。
定義と計量法上の扱い
トルは、標準大気圧の760分の1として定義されている。パスカル(Pa)を用いた正確な定義は、101325/760 Paであり、約133.322 Paに相当する。
日本においては、計量法に基づき「生体内の圧力の計量」に限り使用が認められている。ここでいう生体内の圧力とは、頭蓋内圧、眼圧、気道内圧、膀胱内圧などを指す。なお、血圧の計量にはトルではなく、水銀柱ミリメートル(mmHg)が用いられるため、両者は法的に明確に区別されている。
歴史的背景
1644年、エヴァンジェリスタ・トリチェリは水銀を用いた気圧計の原理を提唱した。当初、圧力の単位は「0℃における高さ1ミリメートルの水銀柱が与える圧力」として定義されていたが、この定義では重力加速度や水銀の密度に依存するため、場所によって値が変動するという課題があった。
1954年の第10回国際度量衡総会(CGPM)において、1気圧が正確に101325 Paと定義されたことに伴い、トルも「1気圧の760分の1」として再定義された。これにより、物理的な測定値から独立した明確な定義が確立された。
分量単位
計量法において、以下の分量単位の使用が認められている。
よくある質問
トルと水銀柱ミリメートル(mmHg)は同じですか?
定義上はどちらも「101325/760 Pa」であり数値は同一ですが、日本の計量法では用途によって使い分けられており、血圧の計量には水銀柱ミリメートルが使用されます。
トルは血圧の測定に使えますか?
いいえ、日本の計量法においてトルは「生体内の圧力」の計量用であり、血圧の計量には使用できません。
なぜ記号のTを大文字にするのですか?
人名(エヴァンジェリスタ・トリチェリ)に由来する単位であるため、国際的な慣習として頭文字を大文字の「T」で表記します。
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参考文献
- 計量単位令 別表第6
- 計量単位規則 別表第4
- BIPM – Resolution 4 of the 10th CGPM (1954)
- 経済産業省 計量行政室「生体内圧力の計量単位について」