観光学
観光資源の定義と役割
観光資源の定義、自然資源と人文資源への分類、および現代の観光政策における磨き上げの重要性について解説します。
📌 主なポイント
- ✓観光資源は主に自然資源と人文資源に大別される。
- ✓現代の観光政策では、資源を磨き上げ、特別な体験として提供することが重視されている。
- ✓世界遺産登録は観光資源としての価値を高める一方、保護と利用の葛藤を生む場合がある。
観光資源とは、人々が観光活動を行う際に誘引の対象となり、感動の源泉となり得る有形・無形の要素を指します。観光産業の核となる要素であり、地域おこしや観光地域づくりの基盤として活用されています。
分類
観光資源は一般的に「自然資源」と「人文資源」の二つに大別されます。
- 自然資源:山岳、高原、湖沼、河川、渓谷、海岸、動植物など、自然環境に由来するもの。
- 人文資源:史跡、遺跡、神社仏閣、城跡、庭園、建造物、年中行事(祭り)、温泉、郷土料理、博物館、美術館など、人間の活動や歴史によって形成されたもの。
公益財団法人日本交通公社が提供する「全国観光資源台帳」では、これらに加えて自然現象や、テーマパーク、スポーツ、芸能といった現代的な要素も観光資源として整理されています。
政策と活用
近年の観光政策において、観光資源は単に既存の名所を保存・列挙する対象から、地域内の多様な関係者が連携して価値を高める「磨き上げ」の対象へと変化しています。観光庁や文化庁は、地域の文化資源を掘り起こし、その地域ならではの「特別な体験」を提供することで、地方誘客やリピーター獲得を促進する方針を掲げています。
歴史的背景
日本における「観光資源」という用語は、鉄道省国際観光局が「resources for tourist」の訳語として用いたのが初期の例とされています。法令上では、かつての観光基本法において定義され、史跡や名勝、天然記念物といった文化財や優れた自然風景地が代表例として挙げられてきました。なお、かつては温泉が自然や文化とは別枠で扱われることもありましたが、現在では人文資源の一部として分類されるのが一般的です。
課題と批判
観光資源の活用には、保護と利用のバランスという課題が伴います。例えば、世界遺産への登録は観光資源としてのブランド価値を高める一方で、観光客の急増による物理的な損傷や、地域コミュニティの変容といった副作用を招く場合もあります。また、梅棹忠夫のように、文化と観光という概念の矛盾を指摘し、観光化による文化の変質を懸念する視点も存在します。
よくある質問
観光資源にはどのようなものがありますか?
山岳や湖沼などの自然資源、史跡や祭り、郷土料理などの人文資源、さらにはテーマパークやスポーツ施設などの現代的な要素が含まれます。
観光資源の「磨き上げ」とは何ですか?
既存の資源をそのまま活用するだけでなく、地域関係者が連携してその価値を高め、その地域でしか味わえない特別な体験として再構築する取り組みを指します。
世界遺産と観光資源の関係は?
世界遺産は観光資源として高いブランド価値を持ちますが、観光客の増加が遺跡の損傷や地域社会への影響を及ぼすなど、保護と利用のバランスが課題となります。
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参考文献
- 自治体ウィーク「観光資源とは」
- JTB「観光資源台帳(2017年版)」
- 斎藤功高「観光資源としての世界遺産と保護の対象としての世界遺産」
- 公益財団法人日本交通公社「美しき日本」
- 観光庁「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進事業」
- 文化庁「文化資源の体験・体感による高度観光拠点の整備・充実事業」
- 寺前秀一『観光学』イプシロン出版企画、2007年
- 梅棹忠夫『梅棹忠夫著作集第21号』中央公論社、1993年