宇宙開発

熱帯降雨観測衛星TRMMの概要と成果

熱帯降雨観測衛星TRMMの概要と成果
日米共同ミッションである熱帯降雨観測衛星TRMMの概要、搭載機器、運用実績、およびミッション終了までの経緯を解説します。

📌 主なポイント

  • TRMMは1997年11月28日に打ち上げられ、2015年4月まで運用された。
  • 日本が開発した世界初の衛星搭載型降雨レーダー(PR)を搭載していた。
  • 2015年6月16日にインド洋上空で大気圏再突入し消滅した。

熱帯降雨観測衛星(Tropical Rainfall Measuring Mission、略称:TRMM)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)と日本の宇宙開発事業団(現:宇宙航空研究開発機構、JAXA)および通信総合研究所(現:情報通信研究機構、NICT)による共同人工衛星ミッションです。熱帯域の降雨観測を主目的とし、地球規模の気象変動や気候メカニズムの解明に多大な貢献を果たしました。

TRMM
熱帯降雨観測衛星TRMM

ミッションの背景と運用

TRMMは1997年11月28日に種子島宇宙センターからH-IIロケット6号機によって打ち上げられました。当初の設計寿命は3年でしたが、その後も順調に運用が継続され、17年以上にわたり観測データを取得し続けました。この長期間の観測により、エルニーニョ・南方振動(ENSO)などの長時間スケールの気象現象の解明が進みました。

2014年2月には後継機である全球降水観測計画(GPM)主衛星が打ち上げられ、一定期間はTRMMとの同時観測が行われました。その後、推進剤の枯渇に伴い、2015年4月8日に正式に運用を終了しました。同年6月16日、インド洋上空で大気圏に再突入し、ミッションを終えました。

搭載機器

TRMMには、日本が開発した世界初の衛星搭載型降雨レーダー(PR)をはじめとする、計5つの観測機器が搭載されていました。

  • 降雨レーダー(PR):日本が開発。降雨の3次元構造を観測するレーダー。
  • イメージングマイクロ波放射計(TMI):海洋上の雲水量や海面水温などを観測。
  • 可視赤外マルチスペクトル放射計(VIRS):高解像度の雲分布や海面水温を観測。
  • 地球放射収支放射計(CERES):地球放射エネルギーを観測。
  • 発光センサ(LIS):雷の分布や変化を観測。

ミッションの終了

2014年7月、NASAは推進剤の残量がほぼなくなったことを公表しました。これにより軌道維持制御が終了し、衛星は自然落下を開始しました。2014年10月には降雨レーダーの後期運用が終了し、2015年4月に全運用が終了しました。最終的な再突入時には、地上への被害は報告されていません。

よくある質問

TRMMは何を観測する衛星でしたか?
主に熱帯域における降雨の3次元構造や、地球放射エネルギー、雷の分布などを観測し、気候変動の解明に寄与しました。
TRMMの運用が終了した理由は?
推進剤が枯渇し、軌道維持が困難になったため、2015年4月に運用を終了しました。
TRMMの後継機はありますか?
全球降水観測計画(GPM)主衛星が後継機として2014年2月に打ち上げられました。

関連記事

気象衛星全球降水観測計画宇宙航空研究開発機構アメリカ航空宇宙局

参考文献

  • 宇宙航空研究開発機構宇宙利用推進本部事業推進部ほか「各国の衛星開発動向に関するデータ集」『宇宙航空研究開発機構特別資料』JAXA-SP-05-033、2006年3月31日。
  • NASA GSFC, "TRMM Mission Set Database", 2014年2月11日閲覧。
  • NASDA (JAXA), "TRMM Data Users Handbook" (PDF), 2018年12月24日閲覧。
  • レスポンス「17年間 雨を観測し続けた長生き衛星『TRMM』に運用終了の兆候」2014年8月17日。
  • 文部科学省/JAXA「熱帯降雨観測衛星(TRMM)の運用終了について」(PDF) 2015年1月16日。
  • sorae.jp「熱帯降雨観測衛星『TRMM』、大気圏に再突入 地上への被害は報告されず」2015年6月17日。