気候学
熱帯モンスーン気候の気候学的特徴と分布地域

ケッペンの気候区分における熱帯モンスーン気候(Am)について、気候的条件、特徴、世界各地の分布地域を詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓熱帯モンスーン気候の気候記号はAmであり、AfとAwの中間(Mittelform)を意味する。
- ✓最寒月の平均気温が18℃以上であり、熱帯としての高温条件を満たす。
- ✓明確な乾季が存在する一方で、雨季の降水量が非常に多い点が特徴である。
熱帯モンスーン気候(ねったいモンスーンきこう、英語: Tropical monsoon climate)は、ウラジーミル・ケッペンが提唱した気候区分(ケッペンの気候区分)における熱帯に属する気候区の一つであり、気候記号はAmである。
記号の「m」は、この気候区が熱帯雨林気候(Af)とサバナ気候(Aw)の中間に位置することを示しており、ドイツ語の「Mittelform」(中間)に由来している。季節風(モンスーン)の影響を強く受ける点が大きな特徴であり、「弱い乾季のある熱帯雨林気候」とも称される。
気候的条件
熱帯モンスーン気候に分類されるためには、以下の気候学的条件を満たす必要がある。
- 最寒月の平均気温が18℃以上であること。
- 年平均降水量が乾燥限界以上であること。
- 最少雨月降水量が60mm未満、かつ「100 - (年平均降水量 / 25)」の計算値(または100 - 0.04 × 年平均降水量)以上の降水量があること。
この条件から、この気候区に属する地域の年平均降水量は原則として1,000mmを超えている必要がある。ただし、年平均降水量が2,500mm以上の場合は、最少雨月降水量が0mmであってもこの気候区分に分類される。
特徴と産業
赤道から北回帰線の間のモンスーンの影響を受ける海岸周辺に多く分布する。雨季には熱帯雨林気候とほぼ同程度の極めて多量の降水をもたらす一方、季節風の向きが変わることで明確な乾季が存在し、地域によっては一時的な乾燥や旱魃が生じることもある。
植生はおもに落葉広葉樹林が広がる。アジア地域では豊富な雨量を活かした稲作が盛んに行われており、稲作中心の地域では人口密度が高くなる傾向がある。その他にもバナナやサトウキビといった作物の栽培がおこなわれている。
分布地域
熱帯モンスーン気候は、熱帯雨林気候とサバナ気候や温帯気候との移行地域に点々と分布している。主な分布地域には以下のような場所が含まれる。
- アジア:インドシナ半島東岸・西岸、マレー半島北部、フィリピン諸島西岸、中国の海南島、台湾島南部、インド南部西岸、モルディブなど
- オセアニア:ジャワ島東部、スラウェシ島南部、ニューギニア島南部、ニューカレドニアやフィジーの一部
- アフリカ:ギニア湾沿岸、コンゴ盆地の一部、マダガスカル沿岸など
- アメリカ大陸:フロリダ半島最南部、中央アメリカのカリブ海・メキシコ湾沿岸、南アメリカのアマゾン川河口周辺やブラジル東岸の一部
よくある質問
熱帯モンスーン気候の記号「Am」の由来は何ですか?
記号の「m」はモンスーンの頭文字ではなく、熱帯雨林気候(Af)とサバナ気候(Aw)の中間に位置することを示すドイツ語の「Mittelform」(中間)に由来しています。
熱帯モンスーン気候ではどのような農作物が育てられますか?
アジアの分布地域などでは豊富な雨を利用した稲作が盛んに行われているほか、バナナやサトウキビなどの栽培がおこなわれます。
熱帯モンスーン気候に分類されるための降水量の条件は何ですか?
最少雨月降水量が60mm未満かつ特定の計算式で求められる基準値以上の降水量があることが条件となりますが、年平均降水量が2,500mm以上の場合は最少雨月が0mmでもこの気候に含まれます。
関連記事
熱帯雨林気候サバナ気候ケッペンの気候区分温暖湿潤気候季節風
参考文献
帝国書院編集部、2017、『新詳高等地図』、帝国書院 ISBN 978-4-8071-6208-6
二宮書店編集部、2017、『詳解現代地図』、二宮書店 ISBN 978-4-8176-0397-5