航空工学
航空機における双尾翼の設計と特徴

航空機の尾翼構成の一つである双尾翼(ツインテール)の設計上の利点、構造的特徴、および歴史的な採用例について解説します。
📌 主なポイント
- ✓双尾翼は水平尾翼の両端に2つの垂直尾翼を配置する設計であり、H字尾翼とも呼ばれる。
- ✓プロペラ後流を利用できるため、低速時やタキシング時の操縦性に優れる。
- ✓第二次世界大戦期の重爆撃機から現代の戦闘機まで、幅広い航空機で採用されている。
双尾翼(そうびよく、英語: twin tail)は、航空機の尾翼構成の一つであり、水平尾翼の両端などに2つの垂直尾翼を配置する設計を指します。後方から見た形状がアルファベットの「H」に似ていることから、H字尾翼(H-tail)とも呼ばれます。

設計上の利点と機能
双尾翼の採用には、構造的および運用上の複数の利点があります。まず、大型の単一垂直尾翼を設置する代わりに、2つの小さな垂直尾翼を配置することで、操縦翼面を分離し、舵の効きを最適化することが可能です。特にマルチエンジン機においては、プロペラ後流(スリップストリーム)を直接受ける位置に垂直尾翼を配置することで、低速時や地上滑走時の操縦性が向上します。
また、高迎角飛行時において、機体中央の影に入りやすい単一垂直尾翼と比較して、双尾翼は気流の遮蔽を受けにくく、安定した制御を維持しやすいという特性があります。さらに、一方の垂直尾翼が損傷した場合でも、もう一方が機能を維持できる冗長性も備えています。運用面では、格納庫の高さ制限に対応しやすくなるほか、後部銃座の射界を広げられるため、第二次世界大戦期の爆撃機などで多用されました。

構造的バリエーション
双尾翼の配置は機体設計により異なります。多くは水平尾翼の両端に配置されますが、一部の機体では水平尾翼の上面に設置される例もあります。また、後部胴体が二股に分かれた「ツインブーム」構造を持つ機体(ロッキードP-38ライトニングなど)では、それぞれのブームの末端に垂直尾翼が配置されます。
特殊な例として、艦載機などのサイズ制限に対応するために3枚以上の垂直尾翼を採用するケースや、E-2ホークアイのように水平尾翼上に複数の垂直尾翼を配置する設計も存在します。






よくある質問
なぜ双尾翼はH字尾翼と呼ばれるのですか?
後方から見た際に、2つの垂直尾翼とそれをつなぐ水平尾翼の配置がアルファベットの大文字「H」の形状に見えるためです。
双尾翼を採用する主なメリットは何ですか?
操縦翼面の冗長性確保、低速時の操縦性向上、格納庫の高さ制限への対応、および後部銃座の射界拡大などが挙げられます。
現代の戦闘機でも双尾翼は使われていますか?
はい、F-15イーグルやSu-27、A-10サンダーボルトIIなど、多くの現代軍用機で採用されています。
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参考文献
- Schiff, Barry: Flying, page 15. Golden Press, New York, 1971. Library of Congress 78-103424