ツイストペアケーブルの構造と技術仕様

📌 主なポイント
- ✓ツイストペアケーブルは2本の絶縁電線を対にして撚り合わせたケーブルであり、平衡接続におけるノイズ低減を図る。
- ✓アレクサンダー・グラハム・ベルによって1881年に電話回路に関する特許が出願された。
- ✓シールドを持たないUTPケーブルと、導電性バリアを持つSTPケーブルに大別される。
- ✓伝送帯域や周波数特性に基づき、カテゴリ1からカテゴリ8までの等級に分類される。
ツイストペアケーブル(twisted pair cable)は、2本の絶縁電線を対(ペア)にして互いにねじり合わせたケーブルである。「撚り対線(よりついせん)」や「TPケーブル」とも呼ばれ、平衡接続を用いた信号伝送において広く採用されている技術である。
原理とノイズ低減の仕組み
ツイストペアケーブルは、外部からの電磁誘導ノイズの影響を低減することを目的としている。平衡接続では一般に差動信号が用いられ、送信側は2つの配線に逆位相の信号を送り、受信側はその差分を検出する。このとき、外部のノイズ源から生じた電磁場が両方の配線に等しく影響すれば、受信側の差分検出によってノイズが打ち消し合う(同相信号除去)。
しかし、ねじりのない平行配線では、ノイズ源に近い方の配線が強く影響を受けるため、バランスを失ってノイズ除去が十分に機能しなくなる。これを解消するため、配線を規則的に撚り合わせて両配線のノイズ影響を均一化し、ノイズ打ち消しを作用しやすくしている。また、配線同士の電磁放射やクロストーク(漏話)を抑える効果もある。
ケーブルの仕様として、1メートルあたりの撚り回数を表すツイスト率(ツイストピッチ)が規定されている。隣り合ったペア同士でツイスト率が同一であると特定の導線が繰り返し隣接し、差動信号の利点が損なわれるため、ケーブル内のペアごとに異なるツイスト率が適用される。
歴史的背景
初期の電話回線では単線による片側接地回路が使用されていたが、1880年代以降、路面電車の架線などによる電磁誘導ノイズが深刻な問題となった。これを解決するため、電話会社は平衡回路への転換を進めた。
電力供給の普及に伴い、送配電線と経路を共有する電柱上の配線ではさらなる妨害除去が必要となり、技術者たちは電柱ごとにワイヤの位置を周期的に入れ替える「ワイヤトランスポジション」という手法を考案した。これがツイストペア手法の初期の実装にあたる。
近代的なツイストペアケーブルの概念は、アレクサンダー・グラハム・ベルによって1881年に特許が出願された。1900年までに、米国の電話回線網の多くがツイストペアまたはトランスポジションオープンワイヤによる保護を取り入れた。
シールドの有無による分類
ノイズ対策のシールド構造によって、ケーブルはいくつかの種類に大別される。
- UTPケーブル(Unshielded Twisted Pair):シールドを持たないケーブル。取り回しが容易で安価なため、一般的な電話線やイーサネット(LAN)などで広く使用されている。
- STPケーブル(Shielded Twisted Pair):外部電磁干渉を防ぐためのシールドが施されたケーブル。特にペアごとに金属箔などで覆った構造はFTP(Foiled Twisted Pair)とも呼ばれる。工業地帯や高周波伝送など、高いノイズ耐性が要求される環境で用いられる。
ISO/IEC 11801などの国際規格では、外装シールドと内装(ペア線)シールドの組み合わせを「外装/内装」の形式(例:U/UTP、S/FTPなど)で明示的に分類している。
カテゴリによる分類
伝送速度や周波数特性に応じ、カテゴリ1からカテゴリ8までの等級が規定されている。ANSI/TIA-568やISO/IEC 11801(JIS X 5150)などの規格により、帯域幅や対応するイーサネット規格が定められている。上位カテゴリのケーブルは、コネクタ形状に互換性がある場合、下位カテゴリの代替として使用可能である。
よくある質問
ツイストペアケーブルがノイズに強い理由は何ですか?
UTPケーブルとSTPケーブルの違いは何ですか?
カテゴリ(Cat)の違いは何を意味しますか?
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参考文献
- Bell, Alexander Graham, "Telephone-circuit", US Patent 244426, 1881.
- ISO/IEC 11801-1:2017, Information technology — Cabling for customer premises.
- ANSI/TIA-568.2-D, Balanced Twisted-Pair Telecommunications Cabling and Components Standards.