上層大気調査衛星UARSの概要と大気圏再突入

📌 主なポイント
- ✓UARSは1991年9月12日にスペースシャトル・ディスカバリー(STS-48)によって打ち上げられた。
- ✓任務の主な目的は地球の上層大気、特にオゾン層の観測であった。
- ✓2005年12月15日に運用を終了し、14年以上の歴史に幕を閉じた。
- ✓2011年9月24日に大気圏へ再突入し、太平洋上に落下した。
UARS(Upper Atmosphere Research Satellite、上層大気調査衛星)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が地球の上層大気、特にオゾン層の化学的・物理的プロセスを観測するために開発した科学衛星である。主製造業者はロッキード・マーティンが担当し、1991年9月にスペースシャトルによって軌道へ投入された。

打ち上げと運用経緯
UARSは1991年9月12日(UTC)、ケネディ宇宙センターのLC-39Aからスペースシャトル・ディスカバリー(STS-48ミッション)によって打ち上げられた。同年9月15日に軌道上で放出され、およそ14年以上にわたる観測任務に従事した。
運用期間中には搭載された一部の観測機器が故障するなどのトラブルもあったが、長期にわたり地球大気のデータを収集し続けた。2005年12月15日にすべての観測運用を終了し、その後は軌道高度を下げた状態で放置されていた。
観測機器
UARSには大気成分や太陽放射を測定するための10の観測機器が搭載されていた。その中にはカナダのNRCが提供した機器も含まれている。
- SOLSTICE:太陽放射測定用分光計(太陽スペクトル放射照度)
- SUSIM:太陽紫外放射測定用分光計(太陽フラックスの変動)
- PEM:高エネルギー電子・陽子測定装置
- CLAES:大気測定用走査型冷却剤冷却式地球周縁赤外分光計
- ISAMS:大気測定改良型機械的冷却式赤外サウンダー
- MLS:大気測定用マイクロ波リムサウンダー
- HALOE:ハロゲン観測用太陽掩蔽式分光計
- HRDI:風測定用走査型ファブリ・ペロー干渉計
- WINDII:風測定用走査型マイケルソン干渉計
- ACRIM-II:太陽常数測定用広帯域放射計
大気圏再突入
2005年12月の運用終了時に高度を下げるマヌーバが行われた後、UARSは徐々に軌道が減衰し、2011年9月24日に制御不能のまま大気圏へと再突入した。
再突入に先立ち、NASAや各国の宇宙機関は落下予測に関するリスク評価を行った。衛星の大部分は燃え尽きると予想されたものの、総計約532kgに及ぶ26個の破片が地上に落下すると推測された。NASAの試算では、地上の特定の人間に破片が当たる確率は約21兆分の1、全体としてのリスクは3200分の1程度と見積もられていた。
その後、アメリカの専門機関による調査により、UARSはグリニッジ標準時の2011年9月24日前後に南緯14.1度、西経170.2度の太平洋上空で大気圏に再突入したことが確認された。周辺に陸地は存在せず、人的・物的被害の報告は一切なされていない。
よくある質問
UARSの主な目的は何でしたか?
UARSはどのようにして宇宙へ打ち上げられましたか?
UARSはいつ大気圏に再突入しましたか?
関連記事
参考文献
- Orbital Debris Quarterly News. NASA, 2011.
- 人工衛星の破片、落ちるかも 人に当たる確率3200分1. asahi.com, 2011.
- Defunct NASA satellite to crash to Earth this week. reuters.com, 2011.
- 人工衛星、23日落下へ 532キロ、燃え尽きぬ見込み. asahi.com, 2011.
- 文部科学省 NASA 上層大気調査衛星(UARS)の再突入及びリスク評価.
- Clara Moskowitz, NASA Pinpoints Pacific Ocean Grave of Fallen UARS Satellite. SPACE.COM, 2011.