気象学
雨氷(うひょう)の気象学的特徴と発生メカニズム

雨氷(うひょう)の定義、過冷却状態の雨が引き起こす発生メカニズム、樹氷や粗氷との違い、および気象学的特徴について詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓雨氷は0℃以下の過冷却状態にある雨粒が物体に触れて凍結する現象である。
- ✓形成には上空の逆転層における融解過程などが深く関与している。
- ✓樹氷や粗氷とは異なり、気泡の含有率が低いため透明で硬い氷の層を作る。
雨氷(うひょう、英: glaze)とは、0℃以下であっても凍結していない過冷却状態の雨(着氷性の雨)が、地表の樹木や地面、電線などの物体に接触した衝撃で凍結し、硬く透明な氷の層を形成する気象現象である。
用語の定義と歴史的背景
英語の気象用語ではglazeまたはglaze iceと呼ばれる。航空分野では航空機への付着氷をclear iceと呼ぶことが定着している。日本においては、明治時代初期の気象用語の翻訳過程において混乱が見られ、1877年には「凝霜」と訳されていたが、1915年に中国語圏の表現などを踏まえて「雨氷」に変更された経緯がある。
発生メカニズム
着氷性の雨が形成される主なプロセスには、上空の雪が融解する過程と、はじめから過冷却状態にある水滴が発達する過程の2通りが存在する。
雪の融解による過程
上空の冷気層で生成された雪が落下する過程で、途中に存在する気温0℃以上の暖気層(逆転層)を通過して融解し、さらにその下部の冷気層で再冷却されることで過冷却の雨粒となる。この雨粒が0℃以下に冷やされた地表の物体に触れることで雨氷へと変化する。
過冷却の暖かい雨の過程
雲の中で過冷却の水滴として発達したものが、そのまま降水として地上に達する場合もある。このプロセスは「過冷却の暖かい雨(SWRP)」と呼ばれ、霧雨状であることが多い。
他の着氷現象との違い
雨氷は気泡の含有率が低いため透明で滑らかな表面を持つ点が特徴である。これに対し、白い不透明な「樹氷」や半透明の「粗氷」は気泡を多く含んでおり、硬さや外観において明確に区別される。
よくある質問
雨氷とはどのような現象ですか?
0℃以下でも凍結していない過冷却状態の雨が、地面や樹木などの物体に付着した瞬間に凍り、硬く透明な氷の層を作る気象現象です。
雨氷と樹氷の違いは何ですか?
雨氷は気泡が少なく透明で硬いのに対し、樹氷は小さな気泡を多く含むため白色で手で崩れやすい性質があります。
どのような気象条件で発生しますか?
上空に逆転層が存在し、融解した雪粒が再び冷やされて過冷却状態を保ったまま、0℃前後の地表や物体に達する特殊な条件下で発生します。
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参考文献
気象庁 『気象観測の手引き』 / 小倉厚司 『一般気象学』