気象学
鉤状雲(巻雲の一種)の概要と特徴

鉤状雲(uncinus)は、巻雲に見られる雲種の一つです。細いすじ状の雲の先端がフックのように曲がっているのが特徴で、その形成メカニズムや気象との関連について解説します。
📌 主なポイント
- ✓鉤状雲は巻雲の一種であり、国際雲図帳では「uncinus」と定義されている。
- ✓先端がフック状に曲がっているのが特徴で、氷晶が気流によって引き伸ばされることで形成される。
- ✓日本付近では春や秋のジェット気流の影響下でよく観測される。
鉤状雲(こうじょううん、ラテン語学術名: uncinus、略号: unc)は、巻雲(けんうん)に分類される雲種の一つです。毛や繊維のような細いすじ状の構造を持ち、その先端がフックや釣り針のように曲がっていることが最大の特徴です。フックの先端のみが房状になり、コンマのような形をしているものもこの雲種に含まれます。

形成メカニズム
鉤状雲は、上層の低温環境下において、雲を構成する氷晶が気流によって引き伸ばされることで形成されます。すじの先端がまっすぐな場合は「毛状雲(fibratus)」、先端が丸まり塊状になっている場合は「房状雲(floccus)」と分類され、これらと鉤状雲は明確に区別されます。学術名の「uncinus」は、ラテン語で「フック」や「引っかかったもの」を意味する言葉に由来しています。
気象との関連
日本付近では、上空にジェット気流が流れ、風速が速まる春や秋によく観測されます。鉤状雲がその形状を保ったまま流されていく様子は、天気の変化を示唆するものとして知られています。なお、写真や図鑑では巻雲の代表例として頻繁に取り上げられますが、巻雲全体の中では必ずしも最も出現頻度が高い形状ではありません。
よくある質問
鉤状雲と毛状雲の違いは何ですか?
すじの先端がフックのように曲がっているものが鉤状雲、まっすぐなものが毛状雲です。
鉤状雲はどのような天気の時に現れますか?
上層の風が強い環境で形成されやすく、日本付近では春や秋によく見られます。天気が崩れる前兆とされることもあります。
関連記事
巻雲雲気象学ジェット気流
参考文献
- 田中達也、『雲・空』〈ヤマケイポケットガイド 25〉、山と溪谷社、2001年、p.113。
- WMO (2017), "Uncinus", International Cloud Atlas.
- WMO (2017), "Fibratus", International Cloud Atlas.
- WMO (2017), "Floccus", International Cloud Atlas.
- 石川県教育センター、「雲を見よう!空の不思議を知ろう」、地学編(14)、2007年、p.4, 13。