地理学・地形学
谷(地形)の構造と成因に関する地理学的解説

山や丘に挟まれた細長い低地である「谷」について、地形学的な定義や侵食谷・初生谷などの成因、日本における方言や地名との関わりを詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓谷とは、山や丘、尾根などに挟まれた周囲より標高の低い溝状の地形の総称である。
- ✓成因により、流水や氷河などによる「侵食谷」と、地殻変動や火山活動などによる「初生谷」に大別される。
- ✓日本では東日本で「沢」、西日本で「谷」と呼ばれることが多いなど、方言や地域による表現の違いが存在する。
谷(たに、英語: valley)とは、山や丘、尾根、山脈などに挟まれ、周囲よりも標高が低い箇所が細長く溝状に伸びた地形を指す。地図上では、尾根とは逆に等高線が凹状に湾曲して描かれるのが特徴である。

広義には周囲より標高が低い低所の総称であり、谷底が一方向へ傾斜している必要はない。しかし狭義においては、河川の浸食作用によって形成された河谷(かこく)を指すことが多く、渓流が流れる谷は渓、谿、あるいは渓谷とも呼ばれる。
谷の成因による分類
地形学において、谷は主にその成因に基づいて侵食谷と初生谷に大別される。
侵食谷
侵食谷は、河川、波浪、風、流氷、氷河などの流体の運動によって地表が削られて形成された谷である。最も一般的なものは河川侵食による河谷であり、山岳地帯では急峻なV字谷を形成することが多い。また、氷河の作用によって削られた谷はU字谷と呼ばれる。

初生谷
初生谷は、侵食以外の要因によってできた谷の総称である。地殻変動に伴うリフト谷や断層谷といった変動成谷、火山活動に関連する火山体間谷などがこれに該当する。
日本の地名と方言における「谷」
日本国内においては、「谷」のほかにも「谷戸(やと)」「谷津(やつ)」「谷地(やち)」など、地域によってさまざまな表現や読み方が存在する。
また、東日本では「沢」、西日本では「谷」と呼ばれる傾向がみられ、これらは同じ地形を指す方言としての側面を持っている。例えば富山県などの地域では、比較的規模が大きく深いものを谷、小さく浅いものを沢と区別して用いる場合がある。
特殊な谷の形状
左右の斜面勾配に著しい違いが見られる谷は非対称谷と呼ばれる。また、かつて谷であった場所に軟弱な泥などが堆積して平坦になった地形は埋没谷と呼ばれ、都市部の地盤や地震時の揺れの特性に関連して注目されることがある。
よくある質問
谷の定義とは何ですか?
山や丘、尾根、山脈に挟まれた、周囲より標高の低い箇所が細長く溝状に伸びた地形の総称です。地図上では等高線が凹状に表れます。
侵食谷と初生谷の違いは何ですか?
侵食谷は河川や氷河などの流体によって地表が削られてできた谷であり、初生谷は地殻変動や火山活動など侵食以外の要因によって形成された谷です。
「谷」と「沢」の違いは何ですか?
東日本では「沢」、西日本では「谷」と呼ばれることが多く、同じ意味を表す方言としての側面があります。地域によっては規模の大小で区別されることもあります。
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河川地形侵食平野V字谷U字谷埋没谷日本の地形
参考文献
日本地形学連合(JGU) 編集『地形の辞典』古今書院、2017年。野満隆治『河川学』第二篇 河谷発生論、土木学会。朝日新聞「都心の地下『埋没谷』見える化」2021年6月25日朝刊。