暦法

ヴィクラマ暦とビクラム暦の概要

南アジアで用いられるヴィクラマ暦の歴史的起源と、ネパールの公式暦であるビクラム暦について解説します。

📌 主なポイント

  • ヴィクラマ紀元は紀元前58年を起点とする暦法である。
  • ネパールの公式暦であるビクラム暦は、西暦より約56年進んでいる。
  • ビクラム暦は1904年にネパールで公式暦として採用された。
  • ヴィクラマ紀元の名称は9世紀以降に定着したものであり、起源には諸説ある。

ヴィクラマ暦(Vikrama Samvat)は、南アジアの広範な地域で使用されてきた暦法です。インドの一部地域やネパールにおいて、歴史的および社会的に重要な役割を果たしてきました。

ヴィクラマ紀元

ヴィクラマ紀元は、紀元前58年を起点とする暦元です。北インドの多くの地域で伝統的に用いられてきました。この紀元は、伝説上の王ヴィクラマーディティヤがシャカ族に対する勝利を記念して制定したと伝えられていますが、歴史学的な観点からは、この王の実在性や紀元の起源について明確な結論は出ていません。9世紀以前の碑文では「クリタ」や「マーラヴァ」といった名称で呼ばれており、ヴィクラマの名で定着したのはそれ以降のことです。また、インド・スキタイ王国のアゼス1世の即位年とする説も存在しますが、アゼス紀元との関連性については議論が続いています。

ネパールにおけるビクラム暦

ネパールでは、太陽暦に基づいた「ビクラム暦(Bikram Sambat)」が公式の暦として採用されています。略号は「B.S.」です。この暦は紀元前57年を起年としており、西暦との間には約56年7ヶ月の差があります。例えば、西暦2024年4月13日は、ビクラム暦の2081年バイサーク月第1日に相当します。

ネパールにおいてビクラム暦が公式に導入されたのは、宰相チャンドラ・シャムシェルによる改革(1904年)が契機とされています。それ以前は、中世前期から碑文等で散見されるものの、実生活では様々な太陰太陽暦が併用されていました。現在でも、ネパールの宗教行事や祭礼の多くは、ビクラム暦の太陰太陽暦的な側面に基づいて執り行われています。

なお、ネパールには「ネパール暦(Nepal Sambat)」という別の暦も存在します。これは主にネワール族の間で使用される太陽太陰暦であり、ビクラム暦とは起源や運用が異なるため、混同には注意が必要です。

よくある質問

ヴィクラマ暦とビクラム暦は同じものですか?
広義には同じ起源を持つ暦法を指しますが、ネパールで現在公式に使用されている太陽暦は「ビクラム暦」と呼ばれ、インドの伝統的なヴィクラマ暦とは運用や暦の性格が異なる場合があります。
西暦とビクラム暦の変換方法は?
ビクラム暦の年数から56または57を引くと西暦が得られます。正確な日付の対応は、暦の年初(通常は4月中旬)によって変動します。
ネパール暦とビクラム暦の違いは何ですか?
ビクラム暦はネパールの公式な太陽暦ですが、ネパール暦は主にネワール族の間で使われる太陽太陰暦であり、両者は全く別の暦です。

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参考文献

  • Salomon, Richard (1998). Indian Epigraphy: A Guide to the Study of Inscriptions in Sanskrit, Prakrit, and Other Indo-Aryan Languages. Oxford University Press.
  • 佐伯和彦『世界歴史叢書 ネパール全史』明石書店、2003年。
  • Bracey, Robert. "The Azes Era". Kushan History.