仮想水(バーチャルウォーター)の概念と水資源への影響
📌 主なポイント
- ✓仮想水(バーチャルウォーター)は、農畜産物の生産に要した水量を可視化する概念である。
- ✓ロンドン大学のアンソニー・アランによって提唱された。
- ✓日本は食料輸入を通じて、国内消費を上回る規模の仮想水を海外に依存している。
- ✓畜産物は飼料となる穀物の生産に多大な水を要するため、農産物と比較して仮想水量が大きい。
仮想水(バーチャルウォーター、英: Virtual water)とは、農産物や畜産物などの生産に要した水の量を、それらの製品が輸出入される際に間接的に売買されていると捉える概念である。ロンドン大学のアンソニー・アラン(Anthony Allan)によって提唱された。
概念の背景
この概念は、乾燥地帯に位置する中東の産油国が、水利権を巡る紛争を回避できている理由を考察する中で生まれた。石油の輸出で得た外貨を用いて食料を輸入することで、その生産に投入された水を間接的に購入していると解釈できるためである。水そのものを輸送することはコスト面で現実的ではないが、最終産物を輸入することで同様の効果が得られるという理論である。
直接水と間接水
東京大学の沖大幹らは、この概念を整理する中で「直接水」と「間接水」という用語を用いて区別している。輸出国側で実際に投入された水の量を「直接水」、同じ産品を輸入国側で生産した場合に必要となる水の量を「間接水」と呼ぶ。農産物の生産に必要な水量は気候や灌漑技術に依存するため、両者は必ずしも一致しない。一般的に、貿易は世界的な水の使用量を節約する方向に作用していると分析されている。
日本における食料輸入と水消費
日本は世界有数の農産物輸入国であり、食料輸入を通じて大量の仮想水を国外から調達している。国内での水消費量に対し、国外の農産物生産に依存する水消費量は非常に大きく、木材の輸入を含めるとその規模はさらに拡大する。日本が輸入する仮想水の一部には、枯渇が懸念される地下水も含まれている。
算出の難しさ
農畜産物1kgあたりの仮想水量は、灌漑方法や生産効率によって大きく変動する。例えば、水田で灌漑を行う米は仮想水量が多くなる傾向がある一方、トウモロコシなどは比較的少ない。畜産物については、飼料として穀物を大量に消費するため、牛肉などは1kgあたりの仮想水量が非常に大きくなることが知られている。
よくある質問
仮想水とは何ですか?
なぜ牛肉は仮想水量が多いのですか?
日本が仮想水を輸入することにどのような問題がありますか?
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参考文献
- 三宅基文・沖大幹・虫明功臣「日本を中心とした仮想水の輸出入」
- 沖大幹「バーチャルウォーター貿易」『水利科学』第52巻第5号、2008年
- 渡邉悟・沖大幹・太田猛彦「木材の輸入に伴う仮想水(バーチャルウォーター)の算定」『水利科学』第53巻第5号、2009年
- 環境省「バーチャルウォーター(実は身近な世界の水問題)」