地学

風化作用:岩石の変質と分解のメカニズム

風化作用:岩石の変質と分解のメカニズム
地表の岩石や鉱物が物理的、化学的、生物的な要因によって変質・分解される「風化作用」について、そのメカニズムや分類を解説します。

📌 主なポイント

  • 風化作用は、物理的、化学的、生物的な要因によって岩石が変質・分解される地形プロセスの第一段階である。
  • 物理的風化には、除荷作用、乾湿風化、塩類風化、凍結風化などが含まれる。
  • 化学的風化は、水や大気との化学反応により鉱物が粘土鉱物などに変化する過程であり、高温多湿な環境で活発化する。

風化(weathering)または風化作用とは、地表付近に露出した岩石や鉱物が、大気、水、生物などの影響を受けて変質または分解される一連の過程を指します。これは地形形成プロセスにおける最初の段階であり、侵食や運搬、堆積へと続く地球表面の地形変化の起点となります。

風化の分類

風化作用は、そのメカニズムに基づき主に「物理的風化」「化学的風化」「生物風化」の3つに分類されます。これらは独立して進行するものではなく、実際には相互に影響し合いながら進行します。

物理的風化

物理的風化(機械的風化)は、岩石の化学組成を変えることなく、物理的な力によって岩石を破壊する作用です。主な要因には以下のようなものがあります。

  • 除荷作用:上部にあった岩石や氷河などの荷重が除去されることで、岩石内部の残留応力が解放され、亀裂や節理が形成される現象です。
  • 乾湿風化:岩石の吸水と乾燥の繰り返しにより、膨張と収縮が生じて細片化する現象です。泥岩や頁岩などで顕著に見られます。
  • 塩類風化:岩石中の溶液から塩類が結晶化する際の圧力や、水和による体積増加によって岩石が破壊される現象です。
  • 凍結風化:寒冷地において、岩石の割れ目に浸入した水が凍結する際の体積膨張(約9%)を利用して岩石を破壊する作用です。
宮崎県の青島で見られる「鬼の洗濯板」
宮崎県の青島で見られる「鬼の洗濯板」。乾湿風化の影響で泥岩部が細片化され、波による侵食を受けて地形が形成された。

化学的風化

化学的風化は、水や大気中の成分が岩石の鉱物と化学反応を起こし、組成を変化させる作用です。高温多湿な環境下で活発に進行します。

  • 溶解:水によって鉱物が溶け出す作用で、特に石灰岩において顕著であり、カルスト地形を形成する主要因となります。
  • 酸化還元:酸素や水が岩石中の鉄やマンガンなどの鉱物と反応し、変質させる作用です。
  • 加水分解:水に含まれる水素イオンと鉱物中の陽イオンが交換されることで、鉱物が粘土鉱物へと変化する過程です。
中国桂林のタワーカルスト地形
中国桂林でみられるタワーカルスト地形。化学的風化による石灰岩の溶解が地形形成に大きく寄与している。

生物風化

生物風化は、植物の根による物理的な破壊や、生物の生命活動に伴う分泌物(酸など)による化学的な溶解作用を指します。植物の根圧や、遺骸から発生する弱酸性溶液が岩石の分解を促進します。

玉ねぎ状風化

岩塊の節理沿いに風化が進行し、タマネギの皮のように層状に剥離していく現象を玉ねぎ状風化(球状風化)と呼びます。花崗岩類でよく見られ、中心部に残った球状の母岩はコアストンと呼ばれます。

よくある質問

物理的風化と化学的風化の違いは何ですか?
物理的風化は岩石の化学組成を変えずに物理的な力で破壊する作用であり、化学的風化は水や大気との化学反応を通じて鉱物の組成そのものを変化させる作用です。
「鬼の洗濯板」はどのような風化作用で形成されましたか?
主に乾湿風化(スレーキング)によるものです。泥岩が吸水と乾燥を繰り返すことで細片化し、その後の波による侵食によって現在の地形が形成されました。
凍結風化はどこで発生しやすいですか?
昼夜で凍結温度を上下する凍結融解サイクルが多発する山岳地域などで発生しやすいです。気温が常に氷点下の場所では水が浸透しないため、進行しにくいとされています。

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参考文献

  • 松倉公憲『地形変化の科学―風化と侵食―』朝倉書店、2008年。
  • 松倉公憲『地形学』朝倉書店、2021年。
  • 日本地形学連合編『地形の辞典』朝倉書店、2017年。
  • 松岡憲知・藁谷哲也・若狭幸「岩石の物理的風化―実験・観測・自然現象のリンク―」『地学雑誌』126巻3号、2017年。